警察犬の犬種一覧|指定7種から嘱託の小型犬・目指す方法まで解説
公開日:2026年8月5日
更新日:2026年8月5日

警察犬には、日本警察犬協会によって指定された7種類の犬種がいます。
しかし、近年では「嘱託(しょくたく)」という制度により、トイプードルなどの小型犬を含め、さまざまな種類の犬が警察犬として活躍しています。
この記事では、警察犬の仕事内容から指定犬種の特徴、嘱託警察犬になるための方法まで詳しく解説します。
[目次]
警察犬の仕事内容とは
警察犬の主な役割は、人間よりもはるかに優れた嗅覚を活かして、犯罪捜査や人命救助に貢献することです。その能力は多岐にわたり、事件の解決に不可欠な証拠をみつけ出したり、行方不明になった人を発見したりと、警察活動の最前線で活躍します。
仕事内容は大きく5つの活動に分けられます。
足跡追及活動│犯人の足取りを追う
足跡追及活動は、事件現場に残された犯人の足跡の臭いをたどり、逃走経路や潜伏先を追跡する活動です。人が歩いた後には、皮膚片や汗などの微細な粒子が「遺留臭(いりゅうしゅう)」として残ります。警察犬はこのわずかな臭いを正確に嗅ぎ分け、犯人の足取りを追うための重要な任務を担います。
臭気選別活動|証拠品と犯人を結びつける
臭気選別活動は、現場に残された遺留品の臭いと、容疑者の臭いが一致するかを判断する活動です。複数の布の中から、遺留品と同じ臭いが付着した布を選び出すことで、犯人を特定する上で客観的で有力な証拠となります。
この活動には、極めて高い集中力と識別能力が求められ、捜査の進展に大きく貢献します。
警戒活動|パトロールや要人警護を行う
警戒活動では、犯人の制圧や逃走防止、パトロール、重要施設の警備、要人警護などを行います。優れた嗅覚だけでなく、犯人に立ち向かう勇敢さや体力、そしてハンドラー(訓練士)の指示に的確に従う服従心も不可欠です。
人々の安全を守るため、ときには犯人と対峙する危険な役割もこなします。
捜索活動|行方不明者や遺留品を探し出す
捜索活動は、行方不明者や事件の証拠となる遺留品などを探し出す活動です。
特に、地震や土砂崩れなどの災害現場では、瓦礫の下に埋もれた人を発見し、人命救助に直結する活躍をみせます。
広範囲を効率的に捜索できる能力は、人の手だけでは困難な状況で大きな力となる役割を果たします。
探知活動|麻薬や爆発物を嗅ぎ分ける
探知活動は、特定の臭いを嗅ぎ分ける訓練を受け、麻薬や銃器、爆発物などを発見する役割です。空港の手荷物検査や国際的なイベント会場の警備など、テロや密輸を未然に防ぐための水際対策で活躍します。
社会の安全を脅かす危険物を発見するという、極めて専門性の高い役割を担っています。
警察犬として公認されている7犬種と特徴
日本警察犬協会では、警察犬としての適性が高い7種類の犬種を指定しています。これらの犬種は、知能、体力、服従性、訓練への適応力といった特徴を兼ね備えているため選ばれました。
それぞれの犬種が持つ特有の能力を活かし、さまざまな種類の任務で活躍しています。ここでは、公認されている7犬種とその特徴を紹介します。
ジャーマン・シェパード・ドッグ

ジャーマン・シェパード・ドッグは、警察犬と聞いて多くの人が思い浮かべる代表的な犬種です。原産国はドイツで、高い知能と優れた身体能力、そして強い忠誠心と服従心を兼ね備えています。
訓練への適応力も非常に高く、追跡から警戒、捜索まであらゆる任務をこなせる万能さがシェパードの最大の特徴です。
ラブラドール・レトリーバー

ラブラドール・レトリーバーは、穏やかで人懐っこい性格が特徴ですが、警察犬としても非常に優秀です。好奇心旺盛で作業意欲が高く、特にその優れた嗅覚を活かした捜索活動や麻薬・爆発物の探知活動で活躍します。
ラブラドールは集中力も高いため、多くの現場で頼りにされる存在です。
ゴールデン・レトリーバー

ゴールデン・レトリーバーは、ラブラドール・レトリーバーと同様に温厚な性格と高い知能で知られています。人と協力して作業することを好み、優れた嗅覚と忍耐強さを持ち合わせているため、行方不明者の捜索や災害救助の現場でその能力を発揮します。
人々の心に寄り添いながら任務を遂行する犬種です。
ドーベルマン

ドーベルマンは、筋肉質で引き締まった体格と、警戒心の強さが特徴的な犬種です。
原産国はドイツで、高い防衛本能と瞬発力を持ち、ハンドラーへの忠誠心が非常に強いことで知られています。その能力から、犯人の追跡や制圧、要人警護といった警戒活動において、ドーベルマンは大きな力を発揮します。
コリー

コリーは、イギリス原産の牧羊犬で、長い被毛と優雅な容姿が特徴です。
非常に賢く、状況判断能力に優れているため、複雑な状況下でも冷静に任務を遂行できます。洞察力も鋭く、主に捜索活動や足跡追及活動で活躍します。
牧羊犬として培われた作業意欲の高さも、コリーが警察犬として評価される理由の一つです。
ボクサー

ボクサーは、がっしりとした体格と力強い顎を持つ犬種で、遊び好きでエネルギッシュな性格です。家族に対しては愛情深い一方、警戒心も持ち合わせており、ハンドラーの指示に忠実に従います。その身体能力と忠誠心を活かして、主に警戒活動や追跡活動などの分野で活躍しています。
エアデール・テリア

エアデール・テリアは、「テリアの王様」とも呼ばれるイギリス原産の犬種です。
テリア種特有の勇敢で活発な性格を持ち、知能も高く、さまざまな状況に順応する能力に長けています。その多才さから、足跡追及、捜索、警戒活動など、幅広い任務をこなすことができる犬種として知られています。
指定犬種以外も活躍!「嘱託(しょくたく)警察犬」
警察犬は指定された7犬種だけではありません。「嘱託警察犬」という制度により、指定犬種以外の犬も警察犬として活躍することが可能です。
この制度は、一般の家庭や民間の訓練所で飼育・訓練されている犬が、各都道府県警が実施する審査会に合格することで警察犬として登録される仕組みです。嘱託犬は、普段は家庭でペットとして過ごし、要請があったときに出動します。
一般家庭のペットが警察犬になれる?嘱託警察犬制度
嘱託警察犬制度は、一般の飼い主が育てた愛犬を警察犬として社会に貢献させることができる制度です。年に1回ほど開催される審査会に合格すれば、嘱託警察犬として登録されます。
事件や事故が発生し、警察から出動要請があった場合に、飼い主またはハンドラーと共に現場へ向かい、捜査や捜索活動に協力します。愛犬の能力を活かせる道として、注目されています。
トイプードルやチワワも活躍!小型警察犬
嘱託警察犬制度の広がりにより、近年ではトイプードルやチワワ、ミニチュア・ダックスフンドなどの小型犬も警察犬として活躍の場を広げています。
小型犬は、その小さな体格を活かして狭い場所や崩壊現場での捜索活動で力を発揮します。
また、人に威圧感を与えにくいため、高齢の方や子どもの行方不明者捜索でも活躍が期待される存在です。
珍しい嘱託警察犬の犬種事例
嘱託警察犬としては、これまでにもさまざまな種類の犬が合格しています。
代表的な例として、日本犬である柴犬や、嗅覚に優れたミニチュア・シュナウザー、さらには超小型犬であるロングコート・チワワなども合格実績があります。
これらの事例は、嘱託警察犬が犬種や体の大きさで判断されるのではなく、個々の犬が持つ能力や適性が最も重要であることを示しています。
愛犬を警察犬に!嘱託警察犬を目指すためのステップ
愛犬を嘱託警察犬にしたいと考える飼い主のために、目指すための具体的なステップを解説します。
嘱託警察犬になるには、犬の素質だけでなく、飼い主の理解と協力が不可欠です。警察の活動に貢献するためには、どのような準備が必要で、どのような道のりを進むことになるのかを知っておきましょう。
「嘱託警察犬」と「直轄警察犬」の違い
警察犬には「嘱託警察犬」と「直轄警察犬」の2種類が存在します。
直轄警察犬は、各都道府県の警察が所有し、警察施設内で専門のハンドラーによって飼育・訓練される犬です。主にジャーマン・シェパード・ドッグが選ばれ、常時出動できる体制が整っています。
一方、嘱託警察犬は、一般家庭などで飼育され、審査会に合格した犬が登録される制度です。
警察犬に求められる性格や素質
警察犬に向いている犬には、いくつかの共通した性格や素質があります。
まず、集中力が高く、一つの作業に意欲的に取り組めることが重要です。
また、人やほかの犬に対して友好的でありながら、物音などに動じない精神的な強さも求められます。好奇心旺盛で遊び好きな性格は、訓練を楽しく進める上で大きな長所となるでしょう。何よりも、人と一緒に作業することを喜ぶ性格が向いているといえます。
警察犬になるための条件や試験内容
嘱託警察犬になるための明確な犬種の制限はありませんが、自治体によっては年齢に上限を設けている場合があります。試験は「審査会」と呼ばれ、年に1回程度、各都道府県警によって実施されます。
「服従の部」では、ハンドラーの指示に従って歩いたり、座ったりする基本的な能力が試されます。専門の「選別の部」や「追及の部」では、臭いを嗅ぎ分ける能力や足跡を追う能力が審査されます。
嘱託警察犬になるために必要な訓練と審査
嘱託警察犬を目指す場合、多くは民間のドッグスクールや犬の訓練所に通い、専門的なトレーニングを受けます。基本的な服従訓練から始め、犬の適性をみながら臭気選別(しゅうきせんべつ)や足跡追及(そくせきついきゅう)といった高度な訓練に進むのが一般的です。
そして、年に一度開催される審査会に挑戦し、合格すれば嘱託警察犬として登録されます。
合格後も能力を維持するため、継続的な訓練が不可欠です。
警察犬の犬種に関するよくある質問(FAQ!)
ここでは、警察犬の犬種や目指し方について、多くの人が抱く疑問に答えていきます。指定されている犬の種類のことから、嘱託警察犬になるための具体的な疑問まで、わかりやすく解説します。
警察犬に指定されている7犬種はどんな基準で選ばれている?
知能、体力、服従心、訓練性能などが総合的に高く、警察活動に適した能力を安定して発揮できるためです。長年の歴史と実績から、これらの7種類の犬は警察犬としての役割を果たす上で、特に優れた資質を持っていると評価され、指定犬種として選ばれています。
なぜ柴犬やトイプードルなどの小型犬も警察犬になれるの?
一般家庭の犬が試験に合格して登録される「嘱託警察犬」という制度があるためです。指定犬種でなくても、能力が認められれば犬種を問わず活躍できます。柴犬や小型犬はその特性を活かし、狭い場所での捜索などで力を発揮します。日本犬ならではの忠実さも評価されます。
嘱託警察犬を目指すための訓練はどこで受けられる?
民間の犬の訓練所やドッグスクールで専門的な訓練を受けることが一般的です。嘱託警察犬の育成・合格実績がある訓練所を選ぶことをおすすめします。お住まいの地域の警察本部のウェブサイトや、日本警察犬協会の支部などで調べてみましょう。
警察犬になるためにはどれくらいの期間がかかるの?
犬の素質や訓練を始める年齢により異なりますが、一般的に1年から数年程度の専門的な訓練が必要です。多くの場合、子犬のころから基本的な服従訓練を始め、1歳を過ぎたあたりから臭気選別などの本格的な訓練に移行し、審査会合格を目指します。
警察犬と警備犬の違いは?
警察犬は主に嗅覚を用いて犯人追跡や遺留品捜索を行う「刑事部」所属です。一方、警備犬は爆発物の捜索やテロリストの制圧など、要人警護やテロ対策を任務とする「警備部」に所属しています。警察犬は犬種が多様ですが、警視庁の警備犬はシェパードで統一されています。
まとめ|犬種の特徴を知って警察犬への理解を深めよう

警察犬には、指定された7種類の犬種が存在しますが、「嘱託警察犬」制度によって、犬種や大きさに関わらず、能力のある犬が活躍できる道が開かれています。
トイプードルや柴犬といった身近な種類の犬も、その特性を活かして社会に貢献しています。
愛犬が持つ優れた能力を、嘱託警察犬として人々の安全を守るために役立てることも、一つの素晴らしい選択肢です。
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