ブリーダーとはどんな仕事?資格、年収から優良・悪質の見分け方まで解説!
公開日:2025年1月10日
更新日:2025年5月22日

ブリーダーとは、ペットとして飼育される犬猫を繁殖・販売する専門家です。仕事内容は、子犬・子猫の育成だけでなく、犬種や猫種の特性に合わせたしつけや、飼育環境の管理など多岐にわたります。
本記事ではブリーダーについて詳しくご紹介していますので、下記のような方におすすめです。
- ブリーダーとはどんな職業か知りたい
- ブリーダーになるには何をすべきか知りたい
- 優良ブリーダーから安心して子犬を迎えたい
- 悪質なブリーダーを避けたい
素敵なブリーダーや可愛い子犬・子猫と巡り合えるように、ぜひ最後までご覧ください。
[目次]
ブリーダーとはどんな職業?簡単に解説!
ブリーダーとは、簡単にいうと、犬猫などの動物を計画的に繁殖・販売する専門職のこと。ブリーダー(Breeder)という英語の意味は「動物や植物の繁殖家、育種家、または交配・改良をする人」です。
ブリーダーは、犬種ごとの特徴や育成方法に精通し、適切な飼育環境を整えることで、健全な子犬・子猫を育てます。単なる繁殖ではなく、知識と責任が求められるプロフェッショナルな仕事です。
以下にブリーダーの資格や年収なども詳しく解説します。
ブリーダーに必要な資格とは?
ブリーダーになるために特別な国家資格は必要ありません。しかし、犬や猫を「業として」販売・譲渡するには「第一種動物取扱業」の登録が必須です。さらに、各事業所には「動物取扱責任者」を1名以上選任しなければなりません。これらは動物愛護管理法で定められており、無登録・無資格での活動は法律違反となってしまいます。2020年の法改正以降、罰則は強化されており、違反者には懲役1年以下または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
第一種動物取扱業とは?
第一種動物取扱業とは、犬や猫などの動物を販売・保管・貸出・訓練・展示など、営利目的で取り扱う事業を指します。ブリーダーは「販売業」に該当し、事業所の所在地を管轄する都道府県や政令市に登録申請を行う必要があります。
動物取扱責任者とは?
動物取扱責任者は、適切な動物管理のために事業所ごとに設置が義務付けられた担当者です。選任には一定の実務経験・関連資格・専門教育の受講などの要件があり、さらに登録後も年1回の継続講習の受講が求められます。
動物取扱責任者になるための要件は以下の通りです。
- 半年以上の実務経験
- 認定された教育機関での履修
- 関連資格の取得
(※上記は2024年現在の情報に基づく一般的な条件です。最終的には各自治体での確認が必要です)。
ブリーダーになるために役立つ関連資格とは?
ブリーダーの資格として必須ではないものの、業務に役立つものを以下にご紹介します。
- 愛玩動物飼養管理士
- 愛玩動物看護師
- 動物看護士
- ペット繁殖指導員
- ペット繁殖インストラクター
これらの資格は、飼育管理や健康維持に関する知識の証明となり、動物取扱責任者の要件を満たす場合もあります。ぜひチェックしてみてください。
ブリーダーに必要な知識・経験とは?
ブリーダーに必要な知識・経験としては、以下のようなものが挙げられます。
- 犬猫の繁殖に関する専門知識
- 遺伝や犬種ごとの特性理解
- 妊娠・出産の対応力
- 病気やケガへの基本的な対処法
また、衛生管理や感染症対策も必須で、日々の観察力や異変に気づく感覚もとても重要ですよ。実務経験は特に重視され、出産の介助や子犬の育成を通じて現場で学ぶケースが一般的です。優良ブリーダーになるには、命に対する責任と継続的な学びの姿勢が欠かせません。
ブリーダーは儲かる?年収・月収は?
ブリーダーの収入や「儲かる」かどうかは働き方によって異なります。企業勤務のブリーダーの年収は200〜300万円程度、月収は16万〜25万円程度が一般的です。一方、独立・開業したブリーダーは収入の幅が広く、成功すれば年収1000万円を超えるケースもあります。しかし、これはごく一部のトップブリーダーに限られます。開業当初は収入が不安定で、赤字になる可能性も考えられるでしょう。
ブリーダーの収入源は子犬・子猫の販売で、人気犬種や良血統のペットは高値で取引される傾向があります。 しかし、飼育費・医療費・施設維持費など経費も多く、売上=利益とはなりません。安定した年収を得るには、信頼と経験の積み重ねが重要です。
ブリーダーになるにはどうすればいい?
ブリーダーになるには、まず犬や猫の繁殖に関する基礎知識を、専門学校や通信講座などで学ぶのがおすすめです。その後、ペットショップやブリーダーのもとで半年〜1年以上働き、出産介助や飼育管理などの実務経験を積みましょう。現役のブリーダーのもとで実際の飼育や繁殖の経験を積むことで、信頼されるブリーダーとしてのスキルを磨けます。
さらに、他のブリーダーや動物関係者とのネットワークを築くことで、新たな知識を得る機会が増えます。こうした努力が質の高い犬を育てるための基盤となるでしょう。独立開業を目指すなら、「第一種動物取扱業」の登録と「動物取扱責任者」の資格取得も重要です。扱う犬種や販売方法、飼育設備などのビジネスプランも早い段階で明確にしておくことが成功への鍵です。
ブリーダーのキャリア形成とは?
ブリーダーとして働く上でのキャリア形成には、様々な選択肢があります。一般企業に勤務するブリーダーとして経験を積んだ後、独立して自身の犬舎を開業する人もいます。また、特定の犬種に特化して専門性を高めたり、ドッグショーなどで評価される犬を育成することで知名度を上げることも可能です。さらに、ペット関連の資格を取得したり、動物の医療や栄養に関する知識を深めることで、より専門的なブリーダーとして活躍することもできます。
ブリーダーの仕事内容を詳しく解説!

ブリーダーの仕事内容は主に、犬の繁殖や飼育、流通、販売などを主な業務としています。彼らは犬の健康を保ちながら、適切な環境で育てることに力を注ぎます。
さらに、購入後のアフターフォローも重要な役割です。ここでは、ブリーダーの具体的な業務内容について詳しく見ていきましょう。
犬を繁殖させて飼育する
特定の血統種を繁殖させて飼育することは、ブリーダーの最も一般的な業務です。
ブリーダーによる犬の繁殖は単純なものではなく、遺伝、健康管理、社会化などの深い知識が要求されるため、何年も特定の犬種に携わって知識と経験を深める必要があります。
また、妊娠や出産は時に危険を伴うため、ブリーダーはサポートのために専門的な技術や設備を整える必要があります。
子犬が生まれた後も、個々の発育状況を観察し、必要に応じてワクチン接種や健康診断を行いながら、健康維持と合わせて社会化トレーニングを行っていきます。
一言でブリーダーと言っても、犬を繁殖させて飼育するだけでなく、高度な専門知識と技術、経験が求められます。
ペットとして流通、販売する
育てて終わりではなく、育てた犬を市場に流通・販売することもブリーダーの重要な業務です。ペットショップに提供する以外にも、購入希望者と直接連絡を取り販売を行う取引も増えてきています。
購入を希望する方からの問い合わせ対応のほか、必要であれば希望者の犬舎見学や子犬との面会もサポートします。
逆にブリーダーからも、犬種について、子犬について十分な説明を行うほか、飼い主としてきちんと責任をもって飼育する意思があるかの確認をする場合もあります。
責任をもって犬種の繁殖を行っているため、信頼できる人に譲りたいと考えるブリーダーも少なくありません。
ペットショップのように希望者に販売して終わりではなく、譲渡までの健康管理や後述するアフターフォローまで含めて、ブリーダーの仕事内容として含まれていることが大きな違いと言えるでしょう。
購入後のアフターフォローを行う
ブリーダーは、販売したら終わりではなく、アフターフォローも含めてサポートしていきます。
わが子同然の様に育てた子犬たちが、新しい環境でもすくすくと成長してもらえるように、飼い方やしつけなどのアドバイスを行うこともあります。
接し方や食事についての日常的なアドバイスはもちろん、健康問題が発生した場合に血統や犬種による傾向を踏まえてアドバイスを行うこともあります。
購入希望者が購入するブリーダーを判断するときに、アフターフォローの評判や信頼をもとに優良・悪質かを判断することがありますので、ブリーダーにしてもアフターフォローは信頼関係を結ぶ重要な仕事のうちの一つです。
優良ブリーダーと悪質ブリーダーを見分けるコツ

優良ブリーダーと悪質ブリーダーを見分けるには、いくつかのポイントがあります。
多くのブリーダーは産み育てる犬たちのことを第一に考えて、仕事をしています。
しかし一部の悪質ブリーダーは、売ることだけを目的として、子犬たちの飼育環境や健康管理をおろそかにしている場合もあります。
せっかく家族の一員として迎えるなら、子犬のことを大切に思ってくれる優良ブリーダーから迎えたいものです。お金では解決できない、信頼できるブリーダーを見分けるコツをご紹介します。
優良ブリーダーの特徴は?
まずは優良ブリーダーが持つ特徴をご紹介します。
数多くいるブリーダーの中から、信頼できる方を探すのはかなり難しいことです。
しかし、子犬たちの扱いや犬種に対する知識、理解度などを見ることで、ブリーダーとしての能力、スキルを確認することができるでしょう。
飼育環境と体調管理を徹底している
優良なブリーダーは、衛生的な環境を保って犬を育てることに注力しています。
特に、チワワとラブラドールレトリバーのように、それぞれ特性が違う犬種をまとめて飼育することなく、犬種に応じた快適な飼育環境を整えているブリーダーは優秀と言えます。
基本的にブリーダーは特定の犬種に特化し、単一の犬種を代々繁殖し続けることがほとんどでした。しかし近年の流行に合わせて、単一犬種だけでなくミックス犬を販売するブリーダーも増えてきています。
どちらにしても、きちんと飼育環境を整えているブリーダーは、責任をもって育てていることに変わりありません。
犬舎見学の際に飼育環境が良いと感じたら、それは信頼できる優秀なブリーダーと言えるでしょう。
飼育している犬種についての専門知識が豊富
優良ブリーダーは、飼育している犬種に対する深い理解を持っています。
何世代にも渡り犬種を育ててきた経験と専門知識を持ち合わせているため、遺伝的な要因や犬種特有の傾向を理解しています。
また、特定の犬種の特性や傾向を知っているため、それに基づいた繁殖計画が立てられます。健康で安定した犬の育成につながるため、購入先としても安心できます。
また、必要なトレーニングや社会化についても十分な知識があります。
飼育している犬種特有の問題や傾向などを質問してみて、詳しく分かりやすく答えてくれるかが一つの判断基準になるでしょう。
悪質なブリーダーの特徴や問題点は?

悪質なブリーダーは、ペットビジネスにおいて利益を最優先するため、犬たちの健康や福祉を軽視しがちです。
その結果、飼育環境が衛生的でない場合や十分なスペースが確保されていないことが多く、犬がストレスを抱えたり病気にかかるリスクが高まります。
また、そうした環境で生まれ育った犬たちは、適切なケアや社会化が十分に提供されないことも珍しくありません。
さらに、悪質なブリーダーは、犬種に関する専門的な知識や遺伝的疾患に関する知識が欠けている場合が多く、利益追求のためだけにどんどん増やすような不適切な繁殖が行われます。
この結果、健康上の問題を抱える子犬が生まれるリスクが高まります。購入後も十分なアフターフォローが提供されないケースが多く、結果として飼い主は不安やトラブルを抱えやすくなります。
信頼できる優良ブリーダーとの出会いは、コミュニケーションをしっかりとることから始まります。
ブリーダーはペットショップと違って、売ることだけを考えているわけではありません。責任を持って犬種の繁殖に携わっている専門家です。
気になることを質問するのはもちろん、どれだけ購入の意思があるか、飼育環境はどうなっているか、などブリーダーから質問があった場合も丁寧に答えることをおすすめします。
ブリーダーも一人の人間ですから、信頼関係ができれば、譲渡までしっかりフォローしてくれますし、お迎え後に何かあっても親身に相談に乗ってくれる可能性も高くなります。
【参考記事】
悪質なブリーダーの特徴と見分け方について解説
シリアスブリーダーと犬のパピーミルって何?
シリアスブリーダーと犬のパピーミルとは、ブリーダーに関連する専門用語です。
シリアスブリーダーとは、ペットの健康と購入者の安心を第一に考え、適切な環境で繁殖を行う信頼できる専門家です。シリアスブリーダーは、犬種の健康や性格を重視し、生体保証を提供するとともに、オンライン見学なども積極的に実施しています。これにより、購入前に犬の飼育環境や健康状態を確認でき、購入後のトラブル防止につなげています。
一方で、パピーミルとは劣悪な環境で過剰繁殖を続け、飼育崩壊を引き起こす問題業者のことを指します。パピーミルでは、健康管理が行き届かず、繁殖不可とされる犬を無理に使って過剰繁殖を行うケースも少なくありません。こうした環境では犬の健康状態が悪化し、飼育困難となった犬が放棄されるケースも多く、放棄犬の増加や動物レスキューの必要性が深刻な社会問題となっています。「ブリーダーは儲かる」と誤解されることもありますが、実際には動物への責任感と深い愛情が欠かせない専門職です。
ブリーダーに向いている人・向いていない人

犬のブリーダーに向いている人は、大前提として仕事に対する責任感を持っている人であることが重要です。様々な知識や素質が挙げられますが、命を預かる仕事なので何よりも大事な要素です。
その点を踏まえて、向いている人の特徴、そして向いていない人の特徴もご紹介します。
ブリーダーに向いている人の特徴は?
ブリーダーに向いている人の特徴は以下の3つがあげられます。
動物愛と忍耐力を持つ人
犬のペットブリーダーとして成功するためには、まず動物愛が不可欠です。犬を育てることは単なる仕事以上のものであり、一生を共にするパートナーとして接するべき存在です。そのため、深い愛情を持って犬たちに向き合う姿勢が求められます。
また、忍耐力も重要な要素です。犬の成長には個体差があり、計画通りに進まないことも珍しくありません。繁殖、飼育、そしてしつけの各段階で根気よく対応する力が試される場面も多いでしょう。忍耐力を持って接することで、ペットブリーダーとして犬たちとの信頼関係を築き、より質の高いブリーディングを実現することが可能となります。
ペットの健康と幸せを優先できる人
ブリーダーにとって、犬や猫の健康と幸せは最優先事項です。健康管理のためには、犬猫が快適に過ごせる適切な飼育環境を整え、必要な医療を受けさせることが求められます。また、犬猫がストレスを感じないよう心がけ、リラックスできる安全で安定した環境を提供することが重要です。
さらに、犬や猫の社会化に関しても、さまざまな体験を通じて、犬猫が他の動物や人間と良好な関係を築けるようサポートすることが必要です。時には自分よりも犬たちを優先しなければいけない場面も出てくるかもしれません。そんな状況でもペットの健康と幸せのために行動できる人がブリーダーとして成功する人と言えるでしょう。
新しい知識を学び続けられる人
犬の繁殖や育成において、日々新しい知識を学ぶ姿勢が求められます。犬種ごとの特性や健康上の問題、繁殖技術などは常に変化しているため、最新の情報を取り入れることが大切です。
繁殖や飼育のほかに、定期的に専門書を読んだり、セミナーや研修に参加したりすることで、自身のスキル向上の機会を作る必要があります。
また、他のブリーダーと交流することで、経験から得られる実践的な知識や情報を共有する機会を持つことも重要です。ブリーダーと言っても常に犬たちと一緒にいればいいわけではなく、積極的に情報収取やスキル向上に時間を使うことも重要になります。
ブリーダーに向いていない人の特徴は?
ブリーダーに向いていない人の特徴は以下の3つがあげられます。
- 命に対する責任感がない人
- 衛生管理や日々の世話が苦手な人
- 収入が安定しないことに耐えられない人
ブリーダーは犬や猫の命を預かる仕事です。交配・出産・健康管理などあらゆる面で、命に対する強い責任意識が欠かせません。無責任な行動は動物虐待につながるおそれもあります。
また、ブリーダーの仕事で衛生管理ができなければ、感染症や病気のリスクが高まります。ブリーダーの開業初期は収益が不安定なケースが多く、経費もかさむため、安定した収入を求める人には不向きでしょう。
ブリーダーとペットショップは何が違うの?
ブリーダーは犬猫などを自ら繁殖し、健康管理やしつけを行いながら販売する専門家です。血統や健康状態について詳しく、適切な飼育環境の提供やアフターフォローが期待できます。
一方、ペットショップはブリーダーや業者から仕入れた動物を小売りする店舗で、実際に動物を見て選べる手軽さがありますが、繁殖の過程や健康管理の詳細は分かりにくいこともあります。
ブリーダーの特徴 | ペットショップの特徴 |
専門的な繁殖管理 | 多種多様な動物の取り扱い |
細やかな飼育環境としつけ | 店舗で手軽に選べる利便性 |
直接販売による信頼性 | 繁殖過程が不透明な場合も |
丁寧なアフターフォロー | ペットグッズを販売している店もある |
ブリーダーとペットショップの違いを理解し、信頼できる販売元から購入することが大切です。購入目的や希望条件に合わせて選びましょう。
まとめ
本記事ではブリーダーとはどんな職業なのかを簡単にまとめ、その仕事内容を詳しく解説しました。ブリーダーになるために必要な資格、年収などの重要ポイントや、優良ブリーダーと悪質ブリーダーの違いについてもご覧いただきました。
犬猫育成の専門家であるブリーダーが責任と愛情を持って育てた子犬をお迎えすれば、飼い主側としても子犬に対する責任感や愛着が増すことでしょう。ぜひ優良ブリーダーとのコミュニケーションを通じて、犬に対する思いを聞いてみてはいかがでしょうか。

愛玩動物飼養管理士、いぬ検定、少額短期保険募集人の資格を保有。
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