多頭飼いに向かない犬は?特徴と対策について徹底解説!
公開日:2025年6月2日
更新日:2025年6月12日

犬の多頭飼いには、犬の社会性の向上や、留守番中の寂しさを減らすなどのメリットがあります。
「愛犬が寂しそうだからもう一頭迎えたい」「たくさんの犬と暮らしたい」そう考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、犬にも人間と同様に、他の犬との共同生活に向いてない子もいます。
犬の性格や相性によっては多頭飼いがストレスとなり、問題行動や体調不良を引き起こす可能性も否定できません。
この記事では、多頭飼いに向かないとされる犬の特徴や成功させるコツ、対策方法について詳しく紹介しますので、不安を解決する手助けになれば幸いです。
[目次]
多頭飼いに向かない犬の特徴は?
多頭飼いに向かない犬にはいくつかの共通する特徴があります。ここでは犬種ではなく、多頭飼いに向かない性格的特徴にフォーカスしてご紹介します。
臆病な性質を持つ犬
臆病な性質を持つ犬は、新しい環境や見慣れないものに対して強い警戒心や恐怖心を感じやすい傾向があります。このような犬は、多頭飼いになると新しい犬の存在そのものが大きなストレスとなり、体調を崩したり攻撃的になったりすることがあります。
協調性が低い・友好的でない犬
他の犬との協調性が低かったり友好的でない場合は、群れで行動することが苦手なのかもしれません。ドッグランやお散歩で他の犬と馴染めなかったり避けたり威嚇する場合は注意が必要です。
独占欲が強い犬
独占欲が強い犬は、飼い主の愛情や特定の物(おもちゃやベッドなど)を他の犬に取られたくないという気持ちが非常に強いです。今まで独占できていたものが共有になることに強いストレスを感じ、新しい犬が来ることで体調不良を起こしたり攻撃的な態度をとったりすることがあります。
問題行動が多い犬
また、問題行動が多く見られる犬は、多頭飼いのストレスによってさらに状況が悪化する可能性があります。無駄吠え、噛み癖、トイレの失敗などが日常的に見られる場合、新しい犬がそれらの行動を「普通のこと」と判断し真似てしまうこともあり得るため、問題行動がみられる先住犬は原因を突き止め改善することを優先しましょう。
多頭飼いに向かない条件や環境
多頭飼いは、犬の性格だけでなく飼育する環境も重要です。どのような条件や環境が多頭飼いに向かないのでしょうか。
犬の年齢差が大きいと仲良くなりづらい?
多頭飼いの年齢差は4~5歳程度がいいとされています。
活動的な若い犬と落ち着いたシニア犬の組み合わせでは、遊び方や体力に差がありお互いにストレスを感じるため「難しい」と感じるケースが多いです。シニア犬が子犬のありあまるエネルギーについていけず、疲れてしまったり体調を崩してしまったりすることが考えられます。
子犬を迎えたらシニア犬が元気になった!というケースも
ただし、多頭飼いを始めたことで先住犬のシニア犬に良い刺激が生まれ、活発になったり若々しさを取り戻すケースも報告されています。これは、新しい家族が増えたことによる精神的な活性化や、遊び相手ができたことによる運動量の増加、「しっかりしなきゃ」という責任感や母性が生まれるなどの理由が考えられます。
犬の体格差が大きいとケガをしやすい?
犬の体格差が大きい場合、多頭飼いには注意が必要です。特に大型犬と小型犬の組み合わせでは、遊びの最中や日常的な接触の中で意図せず小型犬が怪我をしてしまうリスクが高まります。悪気はなくても思わぬ事故につながる可能性が考えられます。お互いが安全に過ごせるよう、それぞれの大きさに配慮した遊び方や環境づくりが求められます。
犬の性別が同じだと反発しあう?
犬の性別も多頭飼いに影響することがあり、同性の場合は反発し合うことがあります。
オス同士の場合、縄張り争いや順位付けを巡って争いが起きやすい傾向があります。メス同士の場合も嫉妬心や優位性を巡る競争意識からトラブルに発展することが考えられます。
避妊・去勢手術を行うことである程度のリスクは軽減できますが、個体によっては同居犬との関係構築が難しい場合もあります。
犬同士の相性が合わないと喧嘩に繋がる?
多頭飼いにおいて最も重要な要素の一つが、犬同士の相性です。相性が合わない場合、日常的に小さな小競り合いが起きたり、深刻な喧嘩に発展したりする可能性があります。犬同士の相性は、性格や過去の経験、犬種など様々な要因によって左右されます。
多頭飼いは難しい?一頭での飼育が望ましい犬種
特定の犬種は、その固有の性質から多頭飼いよりも一頭での飼育が向いている場合があります。これらの犬種を検討する際は、多頭飼いに向かない犬種である可能性も考慮に入れる必要があります。
日本犬
柴犬、紀州犬、四国犬などの日本犬は、縄張り意識や独立心が強く他の犬との交流をあまり得意としない傾向があります。一度心を開いた相手には深い愛情を示しますが、そうでない相手には距離を置きたがる性質が見られます。
多頭飼いの場合、新しい犬を家族として受け入れるのに時間がかかったり、既存の群れに新しいメンバーが加わることにストレスを感じたりすることがあります。
テリア系の犬種
ジャックラッセルテリアやヨークシャーテリア、ワイアーフォックステリアなどのテリア系の犬種は、気が強く他の犬に対して攻撃的な態度をとる傾向が見られます。
特に同性間での争いが起きやすく、一度喧嘩が始まるとエスカレートしやすいという特徴があります。獲物を追う本能が強いため、小さな犬や動物に対して過剰に反応することもあり、多頭飼いには十分な注意と適切な管理が必要です。
運動欲求も高いため、多頭飼いの場合、それぞれの犬に十分な運動時間を確保することが求められます。
警備犬・闘犬種
ジャーマンシェパード、ドーベルマン、ロットワイラーなどの警備犬やピットブルなどの闘犬種は、忠誠心が厚く賢い一方で、警戒心や縄張り意識、攻撃性が強い傾向があります。
適切なしつけや社会化が行われていない場合、他の犬に対して支配的な態度をとったり、攻撃行動に出たりするリスクが高まります。
これらの犬種を多頭飼いする場合、万が一の事故を防ぐために厳重な管理が必要となり、専門的な知識と経験が不可欠となります。他の犬との共同生活よりも、一頭との深い信頼関係を築くことに向いていると言えるでしょう。
多頭飼いに向かない一部の小型犬
チワワやミニチュア・ピンシャー、ペキニーズなど、一部の小型犬も多頭飼いに向かない場合があります。
独占欲や独立心、警戒心が強かったり、プライドが高い性質をもつ犬種は他の犬との生活にストレスを感じる場合があります。
自分のペースを乱されたくなかったり、のんびりしたい性格の場合は似たような子をお迎えすると比較的トラブルは避けられますが、身体の大きな犬種との多頭飼いや、喧嘩につながりそうな素質をもつ場合には慎重に検討する必要があります。
多頭飼いのメリットとデメリット
多頭飼いには魅力的な側面と注意すべき側面の両方があります。多頭飼いを始めるまえに、メリットとデメリットについてもう一度おさらいしておきましょう。
多頭飼いのメリット
多頭飼いのメリットは以下の通りです。
- 犬の社会性が育まれる
- 留守番中の寂しさが軽減される
- 運動不足やストレスの解消になる
- 飼い主の癒しが増える
多頭飼いは、犬同士のふれあいで社会性が育まれ、遊び相手がいることで退屈や運動不足も解消されます。さらに、複数の愛犬に囲まれることで飼い主の心にも癒しと笑顔をもたらしてくれます。
多頭飼いのデメリット
多頭飼いには以下のようなデメリットが考えられます。
- 飼育費用が増加する
- それぞれの犬にかかる時間が増える
- 犬同士の相性が悪いとトラブルになる可能性がある
- 鳴き声や臭いなど近隣への配慮が必要になる
犬の多頭飼いは頭数分の食費や医療費など経済的な負担が大きくなります。また、それぞれの犬の性格に合わせたケアが必要となり時間的な負担も増えます。日頃からそれぞれの犬の状態をよく観察し、問題が起きないよう配慮することが重要です。
犬の多頭飼いで失敗するとどうなるの?
多頭飼いで犬同士の相性が合わなかったりしつけがうまくいかないと、日常的にストレスを感じ問題行動が増えたり体調を崩したりする可能性があります。
さらに、喧嘩が絶えない場合は犬同士を隔離する必要が生じることもあり、飼い主自身の負担となる場合もあります。
途中で諦めてしまうことのないように、次からご紹介する「多頭飼いを考え始めたら確認すること」「成功させるコツと対策」「多頭飼いの準備と注意点」をよく読み、しっかりと準備を進めてください。
多頭飼いを考え始めたら確認すること
多頭飼いを検討する際には、事前にいくつかの点を確認しておくことが大切です。準備不足はトラブルの原因となるため、しっかりと計画を立てましょう。
先住犬が多頭飼いに向いているか考える
新しい犬を迎える前に、まず先住犬が多頭飼いに向いている性格かどうかをじっくりと考えましょう。他の犬との交流が好きか、縄張り意識が強くないか、独占欲や攻撃性はないかなどを冷静に判断します。先住犬が高齢であったり健康に不安があったりする場合も、新しい犬を迎えることがストレスになる可能性があるため慎重な検討が必要です。
先住犬の幸せを第一に考え、多頭飼いが本当に適しているかを見極めることが成功への第一歩となります。
新しく迎える犬との相性をみる
新しい犬を選ぶ際には、先住犬との相性を考慮することが非常に重要です。
性格やエネルギーレベル、年齢などが近い方が馴染みやすい傾向があります。事前に何度か会わせる機会を設け、お互いの反応を観察してみるのが理想です。保護犬を迎える場合は、一時預かりなどを利用して相性を確認できる場合もあります。
犬同士の相性は実際に一緒に暮らしてみないと分からない部分もありますが、事前の情報収集やトライアル期間などを活用し、リスクを減らす努力をしましょう。
一緒に暮らす飼育環境を整える
多頭飼いをするには、それぞれの犬が安心して過ごせる環境が必要です。犬の頭数分のケージやベッド、食器、水飲み場、トイレなどを準備しましょう。それぞれの犬が落ち着けるパーソナルスペースを確保することで、ストレス軽減に繋がります。
また、お留守番中も安全に過ごせるよう、危険なものを片付けたり、脱走防止対策を行ったりすることも重要です。
多頭飼いを成功させるコツと対策
多頭飼いを成功させるためには、いくつかの重要なコツと対策があります。
既に多頭飼いをしていて困っているという方も、再度振り返って見直してみてもいいかもしれません。
先住犬ファーストを徹底する
多頭飼いの際に新しい犬を迎えるにあたり、先住犬の気持ちを最優先することが非常に重要です。
新しい犬が来たことで、今まで自分に向けられていた飼い主の愛情や関心が減ってしまうと感じると、先住犬は強いストレスや嫉妬心を感じてしまいます。
ご飯やおやつ、散歩の準備、撫でてあげる順番など、全ての行動において意図的に先住犬を優先することで、「自分は一番大切な存在である」という安心感を与えることができます。
無理に仲良くさせようとしない
犬同士の相性は個体によって異なり、無理に仲良くさせようとすることは逆効果になることがあります。最初のうちはケージ越しに対面させたり、短い時間だけ一緒に過ごさせたりするなど、段階を踏んで慣らしていくことが大切です。お互いのペースを尊重し、無理に接触させたり、遊びを強要したりしないようにしましょう。
犬同士が自分たちで適切な距離感を見つけられるように、飼い主は見守る姿勢が重要です。
愛情は平等にまんべんなく与える
多頭飼いの場合、それぞれの犬に平等に愛情を注ぐことが大切です。
特定の犬だけを可愛がったり構う時間に偏りがあったりすると、他の犬が愛情不足を感じストレスを抱えてしまう可能性があります。
飼い主の態度が原因で犬同士の関係を悪化させないように注意して、スキンシップや遊びを通じて愛情をしっかりと伝えるようにしましょう。
愛情不足はどう見分ける?サインは?
愛犬が愛情不足を感じるときは以下のような行動をとることがあります。変化を感じた際はそれぞれの犬に寄り添ったケアを心がけることが重要です。
- 体の一部を執拗に舐めたり噛んだりする
- 落ち着きがなく常にソワソワしている
- 悲しそうな目で見つめてくる
- 以前より頻繁に吠えるようになる
- 食欲不振や下痢
- 家具を破壊したり粗相をする
多頭飼いをするための準備と注意点
多頭飼いを始めるには、金銭的な準備や家族間での協力体制など具体的な準備と注意点があります。
費用面や時間に余裕をもつ
犬の頭数が増えれば、それにともなってお世話にかかるお金と時間も多く必要になります。フード代やワクチン・健康診断などの医療費、トリミング代、おもちゃや日用品の費用が増えるほか、突然の病気やケガへの備えも考えておく必要があります。
また、それぞれの犬と向き合う時間や、散歩や遊び、お手入れの時間など、十分な時間をかけられるかどうかも重要なポイントです。多頭飼いを検討する際は、経済的な余裕と時間的な余裕があるかをしっかりとシミュレーションしましょう。
家族間でルールを統一する
多頭飼いでは、家族全員が共通のルールで犬たちと接することが非常に重要です。しつけの方法や食事のルール、散歩の仕方などがバラバラだと、犬たちが混乱し問題行動に繋がる可能性があります。
誰がどのような役割を担うのか、犬たちとの関わり方について家族間で十分に話し合い、ルールを統一しておくことが多頭飼いを円滑に進めるための鍵となります。
分け隔てなく愛情を注ぐ
多頭飼いにおいて最も大切なことの一つは、全ての犬に分け隔てなく愛情を注ぐことです。特定の犬だけを可愛がったり、他の犬への関心が薄れたりしないよう、意識的に平等な愛情表現を心がけましょう。
それぞれの犬とのスキンシップや遊びの時間を確保し、個々のニーズに応じたケアを行うことが、犬たちの心の安定と良好な関係性構築に繋がります。
まとめ|多頭飼いに向かない犬の特性を理解し愛犬に寄り添った対応を心がけよう
犬の多頭飼いは、犬の社会性を育んだり飼い主の癒しになったりと多くのメリットがありますが、全ての犬や飼育環境に向いているわけではありません。
臆病な犬や協調性が低い犬、独占欲が強い犬などは、多頭飼いに向かない可能性があります。
この記事でご紹介した多頭飼いを始める前の準備や成功させるコツなどをよく確認し、犬同士の相性や生活環境をしっかり整えることで、みんなが安心して過ごせる、ハッピーな暮らしを目指しましょう。

愛玩動物飼養管理士、いぬ検定、少額短期保険募集人の資格を保有。
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