犬の多頭飼いのメリット・デメリットを徹底解説!注意点や相性の見極め方も紹介
公開日:2025年12月16日
更新日:2025年12月16日

愛犬が楽しそうに遊ぶ姿を見て「もう1頭迎えたいな」と思う飼い主さんは少なくありません。
しかし、多頭飼いには良い点だけでなく、しっかり理解しておくべき注意点もあります。
この記事では、新しい家族を迎える前に理解しておきたいポイントや、犬同士の相性の見極め方など詳しく解説していきます。
[目次]
犬の多頭飼いの4つのメリット

多頭飼いの魅力は賑やかさだけではなく、犬たちの心と体にも良い影響を与えてくれます。
ここでは多頭飼いのメリットを4つに分けて紹介します。
1.留守番中の寂しさが和らぎストレスが減る
仕事や家事で家を空ける時間が長いと、「1頭で留守番させるのがかわいそう」「寂しい思いをさせてしまった」と感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、相棒がいれば存在を感じられるため孤独感がぐっと減り、犬の心の安定につながります。
不安やストレスが軽減されるのは大きなメリットといえます。
2.犬同士で社会性を学び成長できる
犬同士で過ごす時間は、人間からは教えられない大切なことを学ぶ機会になります。
遊びの中で「どこまで噛んだら痛いか」「相手が怒っているときのサインは何か」といった犬の気持ちを学んでいきます。
特に怖がりの子や社会化が十分でない子にとって、同居犬は心強い存在になります。
3.遊び相手ができて運動量が増える
家の中でも追いかけっこやワンプロ(わんちゃんプロレス)が始まり、自然と活動量が増えます。
1頭では飽きてしまいがちなおもちゃ遊びも、2頭なら引っ張り合いっこなど、バリエーション豊かな遊び方に発展します。
ほどよく疲れることで睡眠の質も上がり、健康維持にもつながります。
4.賑やかな生活で飼い主の幸福度もアップ
寄り添って眠る姿や、楽しそうにじゃれ合う光景は、見ているだけで飼い主の心を癒やしてくれます。
愛犬たちを連れて旅行に出かけたり、カートに乗せてお出かけしたり、家族が増えた分だけ癒しや楽しみは倍増します。
また、将来誰かが旅立ってしまったときに、残された子が心の支えとなり、飼い主のペットロスを和らげてくれる側面もあります。
犬の多頭飼いの4つのデメリット

多頭飼いは楽しい反面、負担になる部分もあります。準備不足で始めると「思った以上に大変だった…」と感じてしまう可能性もあります。
ここでは事前に理解しておきたいデメリットを紹介します。
1.食費や医療費など経済的な負担が頭数分増える
犬が増えれば当然ながら、毎日のフードやおやつ、トイレシートといった消耗品の消費スピードが早くなり、その分費用もかかります。
フィラリア予防薬や狂犬病ワクチンなどの定期的な医療費も頭数分だけ必要です。
若いうちは健康でも、シニア期に入ると病気のリスクが高まり、高額な治療費が同時に発生することも珍しくありません。
多頭飼いを始める前に、継続的な経済的負担を見越しておくことが大切です。
2.散歩やしつけなどお世話にかかる時間と手間が増える
複数頭を同時に散歩ができれば効率的ですが、歩くペースや体力が合わない場合は別々に連れて行く必要があります。
また、新しく迎えた犬には基礎からしつけを行う必要があり、その過程で先住犬にも悪影響や問題行動があらわれたり場合があります。
状況に応じて柔軟に対応するため、お世話の時間と手間は確実に増えると考えておきましょう。
3.犬同士のケンカやヤキモチなどトラブルの可能性
相性が合わないと、顔を合わせるたびにケンカが起きる場合も考えられます。
体格差がある場合は、ちょっとした争いでもケガのリスクが高まるので注意が必要です。
また、飼い主が片方を可愛がりすぎるとやきもちから攻撃的になることがあったり、わざと粗相をしたりすることもあります。
仲良く過ごしてもらうためには、それぞれの性格や距離感に注意しながら、関係性を丁寧に見守ることが必要です。
4.鳴き声や抜け毛が増え飼育環境の見直しが必要になる
2頭、3頭と増えれば、それだけ鳴き声や吠える声のボリュームや回数も増える可能性があります。
犬種にもよりますが、抜け毛の量が増えたり、臭いがこもりやすくなったりするなど、掃除の頻度を上げる必要が出てきます。
また、賃貸住宅の場合は「1世帯で飼える頭数」に制限があるケースも珍しくありません。
スペース不足や騒音トラブルを防ぐためにも、場合によってはより広い住まいへの引っ越しを検討することも大切です。
我が家は大丈夫?多頭飼いを始める前の3つのチェックポイント

「もう1頭迎えたい」と思ったときこそ、一度冷静に見直すことが大切です。
勢いで迎えてしまい、「想像以上に大変だった…」という状況は避けたいもの。
ここでは、多頭飼いを始める前にチェックしておきたい3つのポイントを紹介します。
1.経済的な余裕はあるか
食費や医療費はもちろん、突然のケガや病気といった“予期せぬ出費”に対応できるかどうかは非常に重要です。
ペット保険に加入する場合も頭数分の保険料が必要で、年齢とともに保険料が上がるケースが一般的です。
さらに、トリミングが必要な犬種であれば、毎月のトリミング代も頭数分増えます。
現在の家計だけでなく、将来的な支出も含めてシミュレーションしておくと安心です。
2.十分な飼育スペースを確保できるか
それぞれの犬が安心して過ごせる「自分の場所」を用意できるかは、多頭飼いの快適さに直結します。
相性が合わない場合には部屋を分けて過ごさせる必要がありますし、病気のときは隔離スペースが必要になることもあります。
犬たちがストレスなく動ける広さがないと、トラブルや問題行動の原因にもなりやすいため、事前のチェックは欠かせません。
3.1頭1頭に愛情を注ぐ時間と体力があるか
犬が増えても、個別のケアやスキンシップの時間は減らしてはいけません。
忙しさを理由に特定の子に構えなかったり、散歩を手抜きしたりすると、犬は敏感に「愛情の差」を感じ取ります。
すべての犬に平等に時間と愛情を向け、最後まで責任を持ってお世話できるか。
その覚悟があるかどうかを、もう一度しっかり考えることが大切です。
先住犬との相性は?仲良くさせるには?

先住犬と新しく迎える犬の相性は、多頭飼いを成功させるうえで非常に重要です。
あらかじめ、合いやすい組み合わせや、気をつけたいポイントを知っておくことで、トラブルのリスクを大きく減らすことができます。
ここでは、相性を見極めるためのポイントを4つご紹介します。
【性格】お互いの性格が合うかを見極める
犬にも人間と同じように相性があります。
明るく活発な子は同じテンションの子とはすぐに仲良くなりますが、のんびりした性格の先住犬のもとにハイテンションな子犬が来ると、ストレスを感じてしまうこともあります。
可能であれば、お試し期間(トライアル)を利用して、実際の距離感や反応を見ておくのが安心です。
性格の不一致はしつけではカバーできない部分もあるため、しっかりと見極めることが大切です。
【年齢差】2〜3歳差が理想的といわれる理由
一般的に、先住犬と新しい犬の年齢差は2〜3歳、あるいは4歳程度までが理想的だといわれています。
年齢が離れすぎていると、体力差や遊び方の違いがストレスになる可能性があります。
特にシニア犬にとって、元気いっぱいの子犬は負担になりがちです。
逆に同い年だと、シニア期が同時に訪れて介護の負担が一気に重くなるというリスクも。
犬たちのライフステージを考慮しながら、無理のない組み合わせを選ぶのがポイントです。
【性別】男の子と女の子の組み合わせが比較的スムーズ
性別の組み合わせで最もトラブルが少ないとされるのは、オスとメスの異性ペアです。
異性同士だと縄張り意識がぶつかりにくく、穏やかな関係を築きやすい傾向があります。
ただし異性同士の場合は、望まない妊娠を防ぐための避妊・去勢の徹底管理が前提となります。
一方で同性ペアの場合、性格によってはライバル心が強く働き、ケンカにつながることもあるといわれています。
ただし、どの組み合わせでも性別だけで判断せず、それぞれの性格や相性を見極めることが何より大切です。
【犬種】体の大きさや運動量の違いも考慮する
たとえば、ラブラドールのような大型犬とチワワのような超小型犬を一緒に飼う場合、じゃれ合いのつもりでもケガにつながる体格差のリスクがあります。
また、運動量が多い犬とゆったりタイプの犬では、生活リズムが合わずストレスになることもあります。
可能であれば、体格・運動量・生活リズムが近い犬種やタイプ同士の方が、無理なく暮らしやすい傾向があります。
新しい犬を迎えるための具体的なステップ

いよいよ新しい犬を迎えることが決まったら、いきなり先住犬と対面させるのではなく、段階を踏んで環境に慣れさせることが重要です。
ここではお迎えの際に踏むべきステップを紹介します。
【ステップ1】ケージや食器は個別に用意する
新しい犬を迎える前に、その子専用の居場所となるケージやクレート、ハウスなどを用意しておきましょう。
先住犬が使っていたものを使い回すと、臭いが残っていて警戒されたり、先住犬が「自分のものを奪われた」と感じたりする原因になります。
食器や水飲み場、トイレといった生活に必要なものも個別に用意し、それぞれのテリトリーを明確にしておいてあげると良いでしょう。
【ステップ2】焦りは禁物!初対面は家の外で慎重に
初めての対面は、家の中ではなく公園などの家の外で行うのが理想的です。
家の中は先住犬にとって「自分の縄張り」であるため、いきなり見知らぬ犬が入ってくると侵入者とみなして攻撃的になる可能性があります。
中立的な場所で、お互いにリードをつけた状態で少し離れたところから顔合わせをし、お互いの存在を認識させる程度に留めます。
無理に近づけようとせず、様子を見ながら慎重に進めてください。
【ステップ3】家の中ではケージ越しから慣らしていく
家に連れ帰った後も、すぐに自由にさせるのではなく、まずはケージやサークル越しに臭い・姿を互いに認識させます。
直接触れ合えない状態で臭いを嗅がせたり、姿を見せたりすることで、安全を確保しながら互いの存在に慣れていきます。
数日間この状態を保ち、お互いが落ち着いて過ごせるようになってから、短時間ずつケージやサークルから出して接触させるようにしてください。
飼い主がリーダーに!多頭飼いでの大切な心がけ

多頭飼いでは、犬同士の関係だけでなく、飼い主と犬たちとの関係性が何よりも重要になります。
飼い主が落ち着いて頼れる存在として振る舞うことで、家庭内の秩序が保たれ、犬たちも安心して過ごせるようになります。
ごはんの順番など「先住犬優先」を守る
新入り犬がつい可愛くて構ってしまいがちですが、基本は「先住犬を先にする」ことが大切です。
ごはんをあげる順番、散歩の準備、帰宅時の挨拶など、何をするにも先住犬を優先してあげると先住犬が安心し、新入り犬も自然と序列を理解しやすくなります。
愛情は平等に。どちらか一方をえこひいきしない
「先住犬を優先すること」と「愛情に差をつけること」は別問題です。
どちらかだけを特別扱いすると、嫉妬や不満からトラブルにつながることがあります。
スキンシップの時間や遊ぶ時間は平等に確保し、それぞれの犬が「自分も愛されている」と実感できるように接してあげましょう。
個別に過ごす時間を作るのも良い方法です。
飼い主が毅然とした態度でルールを示す
多頭飼いでは、飼い主が一貫したリーダーシップを保つことがとても大切です。
家庭内のルールが曖昧だと、犬たちは「どちらが上なのか?」「どう行動すればいいのか?」と迷い、トラブルの原因になります。
トイレ・吠える場面・触ってほしくないものなど、すべての犬に同じ基準で接することで、犬たちは安心して過ごせます。
飼い主が頼れる存在であれば、犬同士が争う必要がなくなり、落ち着いた関係が築かれていきます。
多頭飼いでよくあるトラブルと具体的な対処法

どれだけ注意していても、日常の中で小さな揉め事や問題行動は起こり得るものです。
よくあるトラブルのパターンと、それに対するおすすめの対処法を知っておくことで、落ち着いて対応できるようになります。
ここでは代表的な3つのケースを紹介します。
【トラブル1】犬同士が喧嘩をしてしまう
じゃれ合いがエスカレートして本気の喧嘩になりそうなときは、低い声で制止するか、大きな音を出して注意を逸らします。
それでも収まらない場合は、間に割って入らず、クッションなどを間に置いて視界を遮り、安全に引き離してください。
興奮している犬に素手で触れると、飼い主がケガをする危険があるため注意が必要です。
頻繁に喧嘩をする場合は、生活空間を分けるなどしてクールダウンの時間を作りましょう。
【トラブル2】ごはんやおやつを横取りする
食欲旺盛な子がほかの子のフードを横取りしてしまう問題は、食事の場所を物理的に分けることで解決します。
ケージの中で食べさせたり、部屋の隅と隅で背を向けて食べさせたりして、視界に入らないように工夫してください。
自分の分を食べ終わってもほかの子の皿に近づけないようにし、「ほかの子のごはんは取れない」という環境を作ることが大切です。
【トラブル3】飼い主の愛情を独り占めしようとする
飼い主がほかの犬を撫でていると割り込んでくる場合、そのまま応えてしまうと「割り込めば構ってもらえる」と学習してしまいます。
割り込んできたときは無視をし、大人しく待てたときに褒めてあげるようにしましょう。
独占欲が強くなるのは、飼い主との時間が不足しているサインでもあります。
多頭飼いでも、1頭ずつと向き合う “ひとりっ子時間” を意識的に作ると安心して過ごせます。
まとめ|多頭飼いの成功は“正しい理解”と“飼い主のリーダーシップ”がカギ
多頭飼いは楽しい反面、時間・費用・相性など、現実的な負担も伴います。
だからこそ、飼い主が正しい知識を持ち、リーダーとして犬たちを導くことが大切です。
1頭ずつの個性を尊重し、愛情を公平に注ぎながら落ち着いて接することで、犬たちは安心し、自然と良い関係を築いていきます。
ポイントをしっかり押さえて向き合えば、多頭飼いはもっと楽しく、もっと幸せな毎日になります。
ぜひ、素敵な多頭飼いライフを楽しんでくださいね。
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