柴犬のしつけは難しい?理由としつけ前に把握すべき点やしつけのコツ、注意点について
ピンと立った耳にくるんと丸まった尻尾が魅力的な柴犬。日本犬特有の顔立ちが人気となり、柴犬を飼う方が増えてきています。ただ、柴犬は気性が荒いというイメージから、しつけが難しそうと思っている方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は柴犬のしつけが難しいといわれている理由や、しつけをする前に把握しておくべき点、しつけのコツと注意点についてご紹介します。柴犬を飼いたいけれど、きちんとしつけができるか不安に思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
柴犬はしつけが難しい?性格から考えられる理由
初めに、柴犬の性格からしつけが難しいといわれる理由について解説します。柴犬は神経質で警戒心の強い面があるので、人やほかの犬が近付いてくると思いきり吠えたり、びっくりしたときに反射的に噛んでしまったりといったケースがあります。
そのほかに柴犬の性格にはどのような特徴があるのかみていきましょう。
神経質で警戒心が強い
柴犬は元々番犬や狩猟犬として飼われており、家を外部の人間から守るため神経質で警戒心が強い犬種です。周りの気配を敏感に察知し、車や人、ほかの犬が近づいてくると威嚇をします。
また、飼い主に従順である一方、独立心が強く頑固な性格のため、飼い主がリーダーシップを取ってしつけをしないと、好き勝手な行動をしてしまいます。そのため、小さいうちからきちんとトレーニングをして主従関係を築いておくことが重要です。
攻撃的で噛んだり唸ったりする場合がある
柴犬は攻撃性が強い子もいて、時には人を噛んだり唸ったりする場合もあります。ほかの人や犬に噛みついてしまってケガをさせてしまっては大変ですし、唸って周りに恐怖心を与えるのも良くないので、問題行動を起こさないように子供のころからしつけていくことが大切です。
わんちゃんが噛んだり唸ったりしたときは、「ダメ」「いけない」とはっきり叱るようにしましょう。
ストレス耐性が弱い
柴犬は神経質で警戒心が強いことから、ストレスに弱い面もあります。攻撃的な一面があるので気が強そうに見える反面、実はとても繊細なため、しつけの一環として体を叩く行為は絶対にやめましょう。
また、体罰をしてしまうとわんちゃんを刺激することになり、さらに攻撃性が増してしまいます。そのため、声をかけて注意をする、リードを引っぱって動きを抑制するなど、わんちゃんに負荷がかかりにくい方法でしつけをしましょう。
柴犬をしつける前の心構えと知っておくべきこと
次に、柴犬をしつける前の心構えと、知っておくべき点について解説します。柴犬のしつけをする前に意識しておくべきことは下記の通りです。
- 信頼関係を結んだ上で主従関係を築く
- 犬の要求を飲まない
- すぐに褒めてあげるよう意識する
- トレーニングは短い時間に分けて行う
- 叩く行為はNG
- 一貫性のあるしつけを行うこと
以上の点を意識し、柴犬のしつけに取り組んでみてください。
信頼関係を結んだ上で主従関係を築く
柴犬を飼うときは、まずはしっかりと信頼関係を結んだ上で、主従関係を築いていくのがおすすめです。まずは、飼い主とわんちゃんの信頼関係が成り立っていないと、しつけをしても言うことを聞いてくれないので、たくさんコミュニケーションを取っていくことが肝心です。
一緒に遊ぶ、頭や体をなででスキンシップを取るなどしてわんちゃんが心を開いてくれるようになったら、徐々にトレーニングを始めて主従関係を身に付けさせていきましょう。
犬の要求を飲まない
柴犬を飼うときは、わんちゃんの要求をすべて飲まないよう気をつけましょう。かわいいからと甘やかし、いたずらを好き勝手させているとわがままな性格になってしまいます。こうなると、飼い主とわんちゃんの主従関係が逆転してしまい、自分の思い通りに行動するわがままな状態になります。
このような事態を避けるため、悪いことをしたらきちんと叱り、飼い主の指示に従って動くことを覚えさせましょう。
すぐに褒めてあげることを意識
柴犬のしつけをするときは、すぐに褒めてあげることを意識しましょう。おすわりができたときやトイレを上手くできたときには、3秒以内を目安にすぐに褒めてあげるとよいでしょう。時間が経ってから褒めても、わんちゃんは何について褒められているのかわからないからです。
そのため、指示どおりに動いてくれたらその場で、声をかけたり頭をなでたりしてあげてください。褒めるときは大げさなくらい「よくできたね~!」と褒めてあげると、わんちゃんも嬉しくなり、飼い主の言うことを素直に聞くようになります。
しつけのトレーニングは短い時間に分けて行う
柴犬のしつけのトレーニングは、短い時間に分けて行うのがおすすめです。柴犬の集中力は高い方ですが、飽きやすい性格と頑固な気質を持ち合わせているため、一度嫌になってしまうと飼い主の言うことを聞こうとしません。
そのため、トレーニングをするときは10~15分以内にし、1日に細かく時間を分けて行うとよいでしょう。しつけをするときは、上手くできたらすぐに褒めておやつをあげるなど、わんちゃんが楽しくトレーニングができるよう工夫してみてください。
叩く行為はNG
柴犬のしつけのトレーニングをするときに、わんちゃんの体を叩く行為は絶対にやめましょう。柴犬は繊細な性格なので、飼い主に叩かれることで萎縮してしまう場合があります。そうすると信頼関係が崩れ、コミュニケーションが取りにくくなってしまいます。
わんちゃんが反抗的な態度を取ったり、なかなか言うことを聞かなかったりしても感情的にならず、根気強くトレーニングを続けていくよう心掛けてください。
一貫性のあるしつけを行うこと
柴犬のしつけのトレーニングでは、家族が一貫したしつけを行うことが重要です。柴犬は物覚えが良いので、一度覚えたことはしっかり守ります。しかし、家族がそれぞれ違う指示をしてしまうと、わんちゃんは教わったこととは違う指示を言われたと感じ、混乱してしまいます。
また、柴犬は頑固な性格から自分の行動を曲げようとせず、後からしつけをし直すのが大変です。そのため、家族同士でわんちゃんがどのような行為をしたら叱るのか、しつけをするまえに事前にルールを決めておきましょう。
柴犬のしつけを始めるのに最適な時期は?
柴犬のしつけを始めるのは、犬の社会化期といわれる生後2~3ヶ月ごろがおすすめです。社会化期は、周りからの刺激を受けることで社会性を身に付け、飼い主やほかの犬との接し方を学んでいく大切な時期です。
この時期にわんちゃんと信頼関係を築き、きちんとしつけをしておくことで、成犬になってから問題行動を引き起こすのを予防できます。また、柴犬は成犬になると自我が出てきて反抗的な態度を取るようになるため、頭が柔軟な子犬のときにトレーニングをしておくとよいでしょう。
柴犬は性別によってしつけのしやすさが違う?
柴犬は性別によってしつけのしやすさが異なります。オスの柴犬はやんちゃで自己主張の強い子が多く、攻撃的な面もあるため、オスの方がしつけでは苦労するかもしれません。ただ、オスは飼い主に従順なので、しっかりしつけをしておけば素直に言いつけを守るようになります。
メスの柴犬は、比較的大人しく賢い子が多いため、オスよりもしつけがしやすいといえます。ただ、頑固でマイペースな面もあるので、気が向かないときには飼い主の言うことを聞かない場合や、機嫌が悪いと噛みつくケースもあります。
柴犬のしつけの基本と注意点
続いて、柴犬のしつけの基本と注意点について解説します。トイレトレーニングやクレートトレーニング、必要なコマンドトレーニングについてお伝えしますので、柴犬を飼う際に必要なしつけの知識を蓄え、家に迎え入れたときに実践してみてください。
トイレトレーニング
柴犬のトイレトレーニングでは、タイミングを見計らってトイレの場所に誘導してあげましょう。柴犬はたいてい食事や運動後、寝起きなどでトイレに行きたがるので、そわそわしだしたらトイレトレーの方へ誘導してください。
トイレトレーのところまで来たら「トイレ」や「おしっこ」と声をかけるようにすると、トイレがある場所で排泄することを覚えていきます。失敗してしまったら淡々と処理し、上手くできたら思いきり褒めてあげましょう。
注意点として、柴犬が混乱しないようにトイレトレーニングでのかけ声は統一するようにしてください。
クレート(ハウス)トレーニング
動物病院や外へお出かけするときにクレートに入る必要があるので、子犬時期からクレートに慣れさせておきましょう。クレートに慣れさせるためにケージの中にクレートを置いておき、寝床としていつでも入れる状態にしておいてください。
これにより、クレートに入って移動するときにわんちゃんが落ち着いて過ごせ、災害時に非難するときもストレスを軽減できます。
必要なコマンドトレーニング
柴犬に必要なコマンドトレーニングは、「おすわり」「まて」「ハウス」「おいで」の4つです。これらのコマンドを覚えさせることでわんちゃんを落ち着かせられ、ほかの人や犬に危害を加えるのを防ぐ働きがあります。
コマンドトレーニングは、覚えるまで時間がかかるかもしれませんが、根気強く教えていきましょう。
おすわり
「おすわり」は、飼い主がわんちゃんよりも立場が上であることを教えるのに適しており、忠誠心が強く上下関係を重視する柴犬にとって重要なトレーニングです。
「おすわり」のトレーニングをするときは、「おすわり」と声をかけながら、わんちゃんのお尻を押して床や地面に着けさせます。このときおやつを目線より上の位置に持って行くと視線が上向きになり、お尻が下がって自然とおすわりの姿勢になります。
まて
「まて」のトレーニングでは、おやつを近付けて「おすわり」をさせてから、わんちゃんの足元におやつを置き「まて」と声をかけて1秒待ってみましょう。おやつに口を触れずに待っていたら「よし」と指示を出します。
慣れてきたら徐々に待たせる時間を長くし、わんちゃんから遠くに離れ、飼い主が離れても長い間待っていられるようトレーニングしていきましょう。
ハウス
柴犬は警戒心が強いため、家の中に知らない人が入ってくると吠え続ける場合があります。そのため「ハウス」を覚えさせ、来客があったときにケージで大人しくできるようトレーニングさせておくとよいでしょう。
ハウスのトレーニングでは、おやつを持ってケージの中まで誘導し「ハウス」と声をかけてケージの中へ入るよう指示します。そして、わんちゃんがケージの中に入ったらおやつをあげて褒めてあげてください。
おいで
柴犬は、散歩のときにほかの人や犬を警戒して唸ったり、道端に座り込んで歩くのを拒否したりする場合があるので「おいで」も重要なしつけです。
おいでのトレーニングは、おやつやおもちゃを持ったままわんちゃんから1mくらい離れて「おいで」と声をかけます。わんちゃんが飼い主の元に来たら、おやつやおもちゃを渡して褒めてあげましょう。
柴犬に起こりやすい問題行動に対するしつけ方
ここからは、柴犬に起こりやすい問題行動に対するしつけ方について解説します。柴犬に起こりやすい問題行動は下記の5つです。
- 甘噛み・嚙み癖
- 唸る・吠え癖
- 引っかき癖
- 散歩中の引っ張り
- 穴を掘る癖
それぞれのしつけ方についてお伝えしますので、柴犬の問題行動に困ったときに参考にしてください。
甘噛み・嚙み癖
柴犬が甘噛みをしている段階で「ダメ」「痛い」と注意してすぐにやめさせましょう。飼い主に甘えて甘嚙みをしてくる姿は愛らしいかもしれませんが、ここで甘えさせてしまうと自己主張が強くなり、噛み癖がついてしまいます。
柴犬が本気で噛む理由は、知らない人に触られることや、ほかの犬が接近してきて恐怖を感じたからです。そのため、なるべく恐怖心を植え付けないよう、小さいうちから人や犬に触れ合わせる機会を作っておくのが大切です。
唸る・吠え癖
柴犬が唸ったり吠えたりするときは、なぜ吠えるのか原因を探ってみましょう。ほかの人や犬への恐怖心なのか、運動不足や愛情不足によりストレスを感じているのか、もしくは要求吠えをしているのかを見極め、適切に対処していくことが重要です。
恐怖心を持っている場合は人や犬から遠ざけ、ストレスを感じているようであれば散歩の時間を長くするなど、できるだけわんちゃんと過ごす時間を確保するように心掛けてください。散歩に行きたい、ごはんがほしいといった要求吠えをする場合は、すぐに応えず無視をすると次第に吠えることがなくなります。
引っかき癖
柴犬が家の床やカーペットを引っかくのは、以下の4つの理由があります。
- 巣穴を掘る習性
- 暇つぶしをしている
- 飼い主の気を引きたい
- ストレスを感じている
柴犬は元々地面に巣穴を掘って寝床を作る習性があります。そのため、わんちゃんが引っかき始めたらケージの中に入れ、ケージが寝る場所だと覚えさせましょう。
また、暇つぶしや気を引くためであったり、ストレスを感じていたりするようであれば、十分な散歩を行っているかや、わんちゃんをしっかり構ってあげているか、厳しく叱りすぎていないかなど、日ごろのお世話の仕方を見直してみてください。
散歩中の引っ張り
柴犬が散歩をしているときにぐいぐいとリードを引っ張る場合は、リーダーウォークを取り入れるのが効果的です。リーダーウォークとは、飼い主がリーダーとなって犬より前に歩き、スピードや行き先を指示するトレーニングのことです。
リーダーウォークをするときは、リードを短く持ち、わんちゃんが飼い主より前に出たらリードを引っ張って静止させます。これを繰り返していくうちに、次第にわんちゃんが飼い主のペースに合わせて歩くようになります。
穴を掘る癖
柴犬が穴を掘るのは、寝床を確保しようとしていたり、暇つぶしのためだったり、お気に入りのものを隠したりするためです。穴を掘るのは犬の習性なので、頭ごなしに叱ってやめさせてしまうと、わんちゃんにストレスがかかってしまいます。
とはいえ、公園の花壇などを掘り返してしまうと困るので、穴掘りを始めたらすぐに「ダメ」や「いけない」と声をかけて止めさせましょう。また、砂場など自由に掘っても良い場所に誘導し、思いきり穴掘りをさせるのもおすすめです。
柴犬は留守番が得意?
この章では、柴犬の留守番について解説します。愛玩犬として飼われてきた犬種は留守番の苦手な子が多いですが、柴犬は番犬として飼われてきたため、長い時間留守番をしていても平気な子が多い傾向にあります。
ここでは、柴犬の性格による留守番が得意な理由と、留守番をさせるときの注意点などについてみていきましょう。
自立心や独立心が強い
柴犬は自立心や独立心が強いため、留守番をしているのが得意な犬種です。常に飼い主にべったりしているタイプではないので、長い時間家を空けていてもあまりストレスを感じません。
ただ、長時間留守にするときは出かける前に散歩に連れて行く、一緒に遊んであげるなど、スキンシップを取っておくのがおすすめです。注意点として、子犬のころは長い時間留守番をさせると不安を感じてしまうので、できるだけ一緒に過ごしてあげましょう。
留守番のトレーニング方法
柴犬の留守番のトレーニングをするときは、まずケージの中に入ることに慣れさせましょう。電気コードをかじったり、床に落ちているものを誤飲したりすると危険なため、留守番をさせる際はケージの中に入れておくと安心です。わんちゃんをケージに入れて5分間別の部屋で過ごすところから始め、徐々に時間を長くしていきましょう。
なお、留守番中の無駄吠えを抑えるためにも要求吠えには無視をし、吠えても飼い主が反応してくれないと認識させることが重要です。
また、わんちゃんを留守番させるときは、温度管理に気をつけましょう。夏場はエアコンをつけっぱなしにし、冬場においては暖房ではなくホットカーペットを用意して、わんちゃんが環境に合わせて体温調節できるようにしておくのがおすすめです。
留守番のトレーニングはいつから?
柴犬の留守番のトレーニングは、授乳期が過ぎた生後3ヶ月ごろから始めるのがベストです。このころになるとこまめにミルクを飲む必要がないので、少しの間であれば留守番をさせることは可能です。まずは、短い時間から留守番トレーニングを実施し、慣れてきたら少しずつ時間を長くしてみましょう。
留守番をさせるときはケージの中にハウスやベッド、水、おもちゃを置いておき、ケージの中で落ち着くだけでなく飽きずに過ごせるよう工夫してあげてください。
柴犬の留守番は何時間まで?
柴犬を留守番させるときは、長くても12時間以内にしましょう。柴犬は1日2回の食事と朝晩の散歩が必要なため、このくらいの間隔が目安となります。なお、体調が悪化しやすいシニア犬の場合は、あまり長い時間留守番をさせないよう注意してください。
どうしても自宅に戻れない場合は、ペットシッターやペットホテルにわんちゃんを預けておくとよいでしょう。また、時間の取れるときはわんちゃんとスキンシップを取り、ストレスを与えすぎないよう心掛けてください。
柴犬は成犬からでもしつけることはできる?
柴犬が、子犬のうちにきちんとしつけができなかったときや、成犬を迎え入れるといった場合には、犬のしつけ教室やドッグトレーナーにしつけをお願いするのも1つの方法です。
柴犬は独立心と警戒心が強いため、成犬になってからしつけを行うのは大変です。飼い主に反抗的な態度を取ることや、本気で噛みついてくる場合もあるため、無理をせずにプロにしつけ直してもらいましょう。
まとめ
今回は、柴犬のしつけが難しいと思われる理由や、しつけをする前に把握しておくべき点、しつけのコツと注意点についてお伝えしました。それでは簡単におさらいをします。
- 信頼関係を結んだ上で主従関係を築く
- 犬の要求を飲まない
- すぐに褒めてあげることを意識
- しつけのトレーニングは短い時間に分けて行う
- 叩く行為はNG
- 一貫性のあるしつけを行う
柴犬は独立心が強く、しつけをするのは根気がいりますが、小さいうちからきちんとトレーニングをしていれば、成犬になってから問題行動を起こすのを予防できます。しつけをするときの注意点に気をつけながら、一緒に心地良く過ごしていける工夫をしていきましょう!