犬が穴掘りをするのはなぜ?7つの理由と対策法、やめさせるときの注意点について解説
飼ってる犬がわき目も振らずに地面を掘ったり、室内で床を思い切り引っかいたりするところを何度か見たことがある方も多いでしょう。そんなときに「特に意味もないのに、なんでこんな動きをするのだろう?」と不思議に思ったことはありませんか?
そこで今回は、以下の疑問点について解説していきます。
- なぜ人に飼われているペットが穴掘りをするのか?
- やめさせるときに気をつけるべきポイントは?
理由を知ることでむやみに心配せずに済むので、異常行動ではないかと気になっている方は、ぜひチェックしてください。
犬が穴掘りをする8つの理由
初めに、犬が穴掘りをする理由について説明します。犬が前足で地面や床を引っかくのは、獲物をハントしていたときの名残のほか、寝床を整えるためや、温度調整をするためなどさまざまな理由があります。
それではそれぞれ詳しくお伝えします。
1.自分の寝床を整えようとしている
ケージの中やハウスなど、横になるところで穴掘りをするのは、落ち着ける自分の寝床を作ろうとしているためです。犬は、雨で体が濡れるのを防ぐためや敵から身を隠すためなど、穴を掘って巣穴を作っていたころの習性が残っているのも理由としてあります。
そのため、犬がしばらくベッドやマットを穴を掘るようにカリカリと引っかくことで、寝床が整ったと安心して体を丸めて休みます。
2.狩りをしていたときの習性
土の中にいる動物を捕獲したり、獲物を穴に隠していたりしていた狩猟犬のときの名残で、穴掘りをする場合もあります。モグラのような地中生物を捕らえるときや、食べ物をとっておこうとする際に穴を掘る習性があるのです。
ですが、あまり土を掘り起こしてしまうと元に戻すのが大変なので、ある程度穴掘りをさせたらわんちゃんを静止させましょう。
3.温度調整をしようとしている
犬が穴掘りをするときは、温度調整をしようとしている場合もあります。自然の中で生きていた犬は、体温調節のために穴に入って暑さをしのいだり、穴に入って暖を取ったりして体温調節を行っていた習性が関係しています。
そのため暑い日や寒い日に、がさこそと穴掘りをしているようであれば、クーラーや暖房器具を使用して室内の環境を整えてみてください。
4.興奮している
嬉しいときに同じところをグルグルとかけ回るように、テンションが上がってきたときに穴を掘る子もいます。興奮が抑えきれず、思い切り穴掘りをして気を紛らわせようとしています。
いつまでも掘り続けてしまう場合もあるため、ある程度時間が経ったらなだめて興奮を抑えてあげましょう。
5.自分の匂いをつけている
犬が、自分の匂いをつけて縄張りを主張するマーキングとして、穴掘りを行うケースもあります。前足を使って穴を掘るのは、肉球から出た汗を地面にこすり付け、自分のニオイを残そうとしていることが考えられます。
ちなみに、排泄後に後ろ足で蹴る動作をするときも、実は排泄物を隠そうとしているのではなく、土をばらまいて匂いを広げようとしているのです。
6.飼い主の気を引きたいため
犬が、穴掘りをしたときに飼い主さんが笑ったり、叱られたりしたことを覚えていて、自分に注目をしてほしいときに穴を掘っている場合もあります。飼い主さんを喜ばせたい、とにかく気を引きたいという思いから、穴掘りをして自己主張しています。
散歩中に、飼い主の気を引くために大きな動きをしている場合は、飼い主がリーダーであることを認識させるため、黙ってリードを軽く引き無視をしましょう。
7.ストレスを紛らわせようとしている
穴掘りの原因として、わんちゃんがストレスを抱えているケースもあります。この場合は、運動や飼い主とのスキンシップが不足していることでストレスがたまり、穴を掘ってうっぷんを紛らわせようとしていると考えられます。
こうした行動が見られたときは、散歩が十分に足りているかや、わんちゃんをきちんとかまってあげられていたかなど今までの行動を振り返り、わんちゃんとの暮らし方を改善していきましょう。
シニア犬は認知症の可能性も
犬が、歳をとってからずっと前足で地面をひっかき続ける場合は、認知症になっている可能性があります。穴掘り以外にも下記の症状に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。
- ご飯を食べたばかりなのに食事の要求をする
- 昼夜逆転した生活をしている
- 夜中に吠えたり鳴いたりする
- 1箇所でぐるぐる回る
- トイレを失敗する
- 名前を呼んでも反応しない
人間と同じように認知症の特効薬はありませんが、初期のころから治療を始めておけば、症状が改善する場合もあります。そのため認知症の症状が現れたら、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
特に穴掘りをしやすい犬種とは?
特に穴掘りをよくする犬種は下記の通りです。
- ダックスフンド
- テリア系(ケアーンテリアなど)
- ミニチュアシュナウザー
- シベリアンハスキー
- ビーグル
- ボーダーコリー
ダックスフンドやテリア系の犬種は、巣穴にいるアナグマやキツネを狩っていた名残から、穴掘りを行う習性があります。また、獲物を穴の中に入れて保管し、自分で掘った穴の中で暮らしていた生活の名残だと考えられます。
犬が穴掘りをするときの6つの対策
ここからは、犬の穴掘りに困ったときの対応策について解説します。穴掘りを止めさせるのは可愛そうな気もしますが、家具にキズをつけられたり、花壇の土を掘り返されたりすると困りますよね。
そこでこの章では、犬の穴掘りにどう対応するべきかについてお伝えしますので、ぜひ試してみてください。
1.犬の生活環境を見直す
寝る前にがさごそと動いて穴掘りをする場合は、生活環境を変えてみましょう。わんちゃんが寝る直前に毎回穴掘りをするようであれば、寝床が居心地が悪いと感じている可能性があります。
そのため、ベッドの硬さや大きさを変えてみる、狭くて光を遮れるクレートを用意して落ち着きやすい環境を作るなど、わんちゃんが心地良く過ごせるよう工夫しましょう。
2.周りの迷惑にならない場所に誘導する
わんちゃんが穴掘りをするのを無理にやめさせてしまうと、ストレスがたまってしまうおそれもあります。そのため、穴掘りの行為自体をやめさせるのではなく、花壇から離れたところなど問題がなさそうなところへ誘導し、思い切りストレスを発散させてあげさせましょう。
このように、場所を移動させることを繰り返すうちに、周りの迷惑にならないところで穴掘りをするようになります。
3.おやつやおもちゃに注意を向けさせる
犬が穴掘りを始めたら、別の物に注意を向けさせる方法もあります。例えば、おやつやおもちゃの方に興味が変わることで、穴掘りをしていたことを忘れさせられます。
この方法であれば、あまりわんちゃんに負荷をかけずにやめさせられるので、お気に入りのおやつやおもちゃを用意しておきましょう。
4.わんちゃんと一緒に過ごす時間を増やす
犬がストレスを紛らわせるために穴掘りをしている場合は、できるだけ一緒に過ごす時間を確保してあげましょう。最近、室内で愛犬が激しい動きをすることが多くなったという場合は、ストレスをため込んでいる可能性があります。
そのため、散歩の時間を長くする、休日は外に出かけてしっかりスキンシップを取るなどして、なるべくわんちゃんと過ごすようにしましょう。
5.注意をしてやめさせる
興奮していつまでも穴掘りを続ける場合は、きちんと注意をしてやめさせましょう。例えば「だめ」や「おすわり」と声をかけ、わんちゃんを落ち着かせてください。指示に従っておとなしくできたら、思いっきりほめてあげましょう。
なお、飼い主に注目してもらおうと穴掘りをしているときは、かまわずに無視をすることも大切です。穴を掘っても相手にしてもらえないとわかると、同じことを繰り返さなくなります。
6.穴掘り用の対策グッズを使ってみる
穴掘りができておやつも隠しておけるマットや、床に傷が付かないように保護シートを使う方法もあります。穴掘りができるおもちゃを用意しておけば、家の中にある物に傷を付けずに済みます。また、保護シートを貼っていれば、わんちゃんが前足や後ろ足で床を蹴っても安心です。
このように対策をすれば、穴掘りを無理やり抑える必要がなくなり、かつわんちゃんのストレス解消にも繋がります。
犬に穴掘りをやめさせるときに気をつけるべきポイント
犬の穴掘りは本能なので、むやみやたらに叱ってやめさせるのはNGです。穴掘りができなくなってしまうとわんちゃんはストレスがたまってしまうので、周りに迷惑がかからない場所で穴掘りをさせてください。
また犬が穴掘りをするのは、同じことを繰り返してストレスを紛らわせようとする「常同障害」のおそれもあります。声をかけても一心不乱に前足で引っかき続ける場合は、一度動物病院で相談してみましょう。
まとめ
今回は、犬の穴掘りについてお伝えしましたが、まとめると以下の通りです。
■犬が穴掘りを行う主な理由
- 犬が穴掘りをするのは習性である
- 温度調整をしようとしている
- ストレスを紛らわせようとしている
- シニア犬は認知症の可能性もある
■犬が穴掘りをするときの主な対策
- わんちゃんが心地良く過ごせる環境作り
- ほかのものに注意をそらす
- スキンシップを多めに取る
- 対策グッズを使う
犬が穴掘りをするのは習性なので、ときどき穴を掘る分には特に心配する必要はありません。ただ、異常なほど穴掘りを続けているようであれば、ストレスを抱えているケースや、認知症のおそれがあるので、獣医師の診断を受けておきましょう。
あまり押さえつけすぎずある程度自由にさせて、わんちゃんのストレスを上手く解消させましょう!