ポメラニアンのしつけを完全解説!しつけの手順や注意点、必要なグッズについても
ふわふわの被毛と愛らしい瞳を持つポメラニアンは、かわいさのあまり甘やかしてしまいがちです。その結果、吠えや噛みつきなどで苦労することも少なくありません。
そこで本記事では、ポメラニアンを飼う上で感じやすい、不安要素に対するしつけの方法を徹底解説していきます。
- ポメラニアンにしつけを始める時期
- トイレ・クレート・甘噛み・無駄吠えのしつけ方
- お留守番を得意にする方法
適切な時期にしつけを行うことでしっかりと身につき、お互いが暮らしやすくなります。
充実したドッグライフを送るためにも、ぜひ最後までお読みください。
ポメラニアンは性格的にしつけが難しい?
ぱっちりとした目とかわいらしいフォルムのポメラニアンですが、主に以下の点からしつけが難しいと考えられています。
- 気が強くて吠えやすい
- 自己主張が強い
ポメラニアンの性格とは、具体的にどのようなものなのかを踏まえながら、しつけが難しいといわれる理由を解説します。
気が強くて吠えやすい
スピッツ系の血統をルーツとするポメラニアンは、気が強く吠えやすい一面を持っています。そのため、飼い主の指示に従おうとしなかったり、吠えて反発したりすることも少なくありません。
また、ポメラニアンは警戒心も強い犬種です。家のチャイムや車の音にはもちろん、ほんの些細な物音にも敏感に反応するため、いつも吠えていると感じることもあるでしょう。
自己主張が強い
自分の意思がはっきりとしているポメラニアンは、意思に反することを指示されたときに、言うことを聞かないケースも少なくありません。子犬時代になんでも許され、甘やかされた記憶のあるポメラニアンは特に「自分はこうしたい」と自己主張が強い傾向にあります。
そのまま何もしつけをしない場合は、成犬に近づくにつれて自己主張はさらに強まる可能性もあるのです。
ポメラニアンにしつけを始める時期は?
ポメラニアンにしつけを始める時期は、家に迎え入れたその日から行うのが理想です。
動物愛護法により、家に迎え入れることができるのは最短でも生後57日目からとなっています。生後2か月前後の子犬にしつけはまだ早いのでは?と感じるかもしれません。
しかし、犬のしつけは毎日の積み重ねで完成します。家に来たその日から、正しい方法でしつけを継続していくことが最も大切なのです。
子犬の社会化期にしつけを行う重要性
子犬の生後1か月~3か月頃のことを『社会化期』と呼びます。
社会化期とは、子犬を取り巻く環境や人間など全てを受け入れ、順応していくための大切な期間です。この期間に受けた刺激によって、その犬の犬生が決まるといっても過言ではありません。
社会化期に適切な外部刺激を受けなかった子犬は、外部刺激への耐性が身に付かず、吠えや噛みなど問題行動を引き起こしやすくなります。
ポメラニアンに必須のしつけとやり方について
ポメラニアンと生活するにあたって必須となるのが以下のトレーニングです。
- トイレトレーニング
- クレートトレーニング
- 甘噛み・噛み癖の対策
- 無駄吠えの対策
- 基本的なコマンド(おすわり・ふせ・待て)
これらのしつけは、日常生活を送る上で重要なものです。
正しいしつけ方を理解し、子犬時代から習慣にしましょう。
トイレトレーニング
トイレトレーニングは、日常生活を送る上で欠かせないしつけの1つです。
【トイレトレーニングの手順】
- サークル内(または行動が制限できるスペース内)にトイレを置く
- 床の匂いを嗅ぐ、そわそわする姿がみられたらトイレの上へ移動
- 排泄があるまで待つ(「トイレ」「ワンツー」などの声かけもOK)
- 排泄ができたら褒める
ここまでの流れを、できるようになるまで繰り返します。
トイレに失敗してしまった場合は、叱ったりせず何食わぬ顔で掃除しましょう。失敗に対して叱ると、トイレ自体がいけないことだと勘違いする可能性があるためです。
トイレが成功するようになったら、次のステップに移行しましょう。
- 囲いを外す
- 落ち着きがなくなってきたらトイレの前まで連れていく
- 自分の足でトイレに乗るように誘導(おしり側を少し押すイメージ)
- 排泄ができたら褒める
- 少しずつトイレまでの距離を伸ばしていく
「どこにいてもトイレに行き、用を足して戻ってこられる」という状態が理想です。トイレトレーニングは一度の失敗で一喜一憂せず、継続的に取り組みましょう。
クレートトレーニング
クレートトレーニングは、普段の生活はもちろん災害時や通院時にも役立ちます。
【クレートトレーニングの手順】
- クレートを用意し、フードやおもちゃで中へ誘導する
- 少しずつ奥にご褒美を置き、身体が完全にクレート内へ
- 入ることができたら褒める(このときクレートのドアは開けたまま)
- クレートにすんなり入るようになったら、一度ドアを閉めて様子を見る
- おとなしく過ごせたら、短時間でドアを開けて褒める
- 少しずつドアを閉めておく時間を伸ばしていく
クレートの中で、ポメラニアンが眠ったり、リラックスした表情が見られたりできれば成功です。どうしても嫌がる場合は、遊んであげるか散歩に行くなどして、気分転換させてから再度チャレンジします。
クレートトレーニングでのポイントは、クレートまでの道のりを強制しないことです。クレートに犬が、自らすすんで入れる「好きな場所」となるよう認識させることが大切です。
甘嚙み・嚙み癖の対策
甘噛みは、子犬時代はしょうがないと許してしまいがちですが、甘噛みはエスカレートすると本気噛みへと発展するおそれがあります。そのため、人の手を噛む行為はいけないことだと、しっかり教える必要があるのです。
【甘噛み・噛み癖対策の手順】
- 噛んだときに叱る言葉と声のトーンを家族で統一する
- 少しでも歯が当たったらポメラニアンの目を見て叱る
- 噛むのをやめたら褒めるを繰り返す
おもしろがって噛み続ける場合は、飼い主がその場から立ち去りましょう。その際は大きな声を出さずに無表情でポメラニアンの前から姿を消します。
上記の手順を何度も繰り返すうちに、何をしたら家族が目の前からいなくなってしまうのかを理解するようになります。
ただし、犬が噛んだらサークルに閉じ込めるというのは、サークル自体にネガティブなイメージを持つ可能性があるので控えましょう。
無駄吠えの対策
ポメラニアンは、スピッツ系をルーツに持つことから興奮しやすく吠えやすい犬種です。
【無駄吠え対策の方法】
- 「かまってほしい」「近くに来てほしい」などの要求吠えは無視
- 吠えるのをやめたときに、褒めたりやご褒美を与えたりする
- 玄関チャイムなどには日頃から慣れさせる(生活音のなかへ溶け込ませる)
- 吠えがおさまらないときは、ペットボトルを遠くに投げて興味をそらす
無駄吠え対策では『吠えても無駄である』と理解させることが肝要です。
また、ポメラニアンをはじめ多くの犬たちはインターホンに過剰反応します。理由としては、インターホンの音やインターホンが鳴った際に、人が慌ただしく動くことが原因です。
聞き慣れない音でも、普段から生活音として聞いているテレビ音などと同じように感じることができれば、無駄吠えは減っていきます。無駄吠えのトレーニングも根気強く続けることが大切です。
必須のコマンド
理解力が高いポメラニアンは、根気強く教えることで子犬でもコマンド(指示)を覚えます。
外出時など、自分の身を守るためとしても使えるコマンドは以下の3種類です。
- おすわり
- 待て
- 伏せ
どのような場面で役立つのかも含め、習得方法をそれぞれ解説していきます。
おすわり
「おすわり」は、ポメラニアンが興奮した際などに落ち着かせることができるコマンドです。
【おすわりを教える手順】
- フードやおやつを持ってポメラニアンの横へ
- ご褒美を持った手を鼻先より上に持っていく
- 2と同時にポメラニアンの腰のあたりを軽く押す(コマンドも同時に言う)
- 一瞬でもお座りの形ができたら褒める
- ポメラニアンが自ら床におしりをつけるようになるまで繰り返す
コマンドは何度も指示せず、1回でなるべく成功の形に近づけるよう意識しましょう。短時間の練習を繰り返し行うことで定着します。
待て
『待て』は、食事の前や興奮を抑制する際に効果的なコマンドです。
【待てを教える手順】
- ポメラニアンを座らせた状態にする
- コマンドを言いながら鼻先に手をかざす
- ほんの数秒でも動きが止まれば褒める
- 静止する時間を少しずつ伸ばしていく
ポメラニアンが途中で立った場合は、もう一度座るところから始めます。
食事前の待てを教える際は、飼い主が立ったままコマンドをかけましょう。お皿の中身を見てしまうと、興奮が止まらず指示が伝わりにくい子もいるためです。
伏せ
「伏せ」は、病院の待ち時間や落ち着いてほしいときに有効なコマンドです。
【伏せを教える手順】
- 座らせた状態にする
- フードやおやつを鼻先に持っていき、コマンドをかけながら地面に近づける
- ひじが地面についたらしっかり褒める
- 指示だけでできるようになるまで繰り返す
はじめはなかなかひじが地面につかず、立ち上がってしまうことも多いでしょう。ただ、根気強く何度も繰り返し教えることで伏せの体勢にも慣れ、すんなりと伏せができるようになっていきます。
ポメラニアンの留守番のトレーニング
共働きの家庭が増加している現代では、ポメラニアンをはじめわんちゃんたちには「お留守番」が必須スキルです
家族と楽しく過ごす時間とお留守番での1人時間。それぞれの時間を快適に過ごすためには、お留守番のトレーニングを子犬時代から行うことが大切です。
ここからは、迎え入れたポメラニアンが分離不安症にならずに、スムーズにお留守番をするための手順や、外出する際の注意点を解説していきます。
分離不安症にならないために
分離不安症とは、飼い主が近くにいないことにより精神的・肉体的に不安定になる状態です。下痢や嘔吐などの身体的不調のほか、延々と鳴き続ける、執拗に物を壊すといった行動もみられます。
そのため、トレーニングをせずに長時間のお留守番は、犬にとって不安や孤独感を募らせる原因となります。そしてその結果、分離不安症といった身体の不調に繋がってしまうおそれがあるのです。
お留守番のトレーニングは、双方にとってより良い生活を送るための大切なトレーニングといえるでしょう。
留守番のトレーニングの手順
ポメラニアンは、自立心が強くお留守番が得意な犬種ですが、急に長時間のお留守番をさせるのは好ましくありません。
【お留守番トレーニングの手順】
- 数分間、ポメラニアンがいる部屋から出て様子をみる
- おとなしくしていたらしっかりと褒める
- 少しずつお留守番の時間を伸ばしていく
短時間のお留守番からトレーニングをスタートすることで、スムーズにお留守番ができるようになります。わんちゃんには「飼い主は必ず戻ってきてくれる」という安心感を与えてあげることが重要です。
外出する際の注意点
ポメラニアンをお留守番させる際に意識したいポイントは以下のとおりです。
- 適切な空調管理を行う
- いつでも水を飲める状態にしておく
- 外出前の声かけは慎重に行う
お留守番の際に大切なのが、わんちゃんにとって快適な環境作りです。犬が動ける行動範囲の中で、生活のすべてが行えるように配慮しましょう。
また、外出時に行う声かけの有無も重要です。
犬によって、「いってきます」の声でおとなしくなる場合と、何も言わずに外出するほうがいい場合とで分かれます.。そのため、迎え入れたポメラニアンがどちらのタイプか、トレーニングしているときに見極めましょう。
ポメラニアンのしつけに必要なグッズ
ポメラニアンにしつけを行う際に必要なグッズは、以下の4つです。
- ご褒美
- おもちゃ
- クレート・サークル
- 酢
具体的にそれぞれ解説します。
ご褒美
ご褒美といえば、おやつやフードを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
実は、犬にとって飼い主の褒める声かけや表情もご褒美になるのです。
特に生後6か月以下の子犬は、飼い主とただ目が合うだけでも興奮状態になるほど純粋です。子犬時期においては食べ物を使わずに、飼い主の声や表情でしつけを行うことができます。
ただ、たまにおやつやフードを使うようにすれば、わんちゃんはしつけに対してより意欲的になるでしょう。
おもちゃ
おもちゃも、しつけをする際の大切なアイテムです。
ロープ系のおもちゃであれば、遊びながら「離せ」なども合わせて教えることができます。
おもちゃにはお留守番用の物もあるため、シチュエーションごとにおもちゃを使い分けるといいでしょう。
ただ、犬によっておもちゃの好みは異なるため、迎え入れたポメラニアンの好みを把握することもしつけ成功への近道です。
クレート・サークル
クレートは、普段からポメラニアンの寝床や休憩場所として使えます。サークルのなかにクレートをベッド代わりに置くことも可能です。
サークルは、トイレトレーニングを行う際に活躍してくれるアイテムです。ポメラニアンのお気に入りの場所として認識させられれば、お留守番もトイレに困ることはないでしょう。
酢
犬は、酢の刺激的な香りが苦手です。人間の何倍も鋭い犬の嗅覚は、ツンとした酢の香りが鼻をつきます。
しつけで使用する酢は、水で薄めてスプレーボトルに入れて使用します。
酢のスプレーを使うタイミングは以下のとおりです。
- 無駄吠えをしているとき
- 噛んでほしくないものを噛もうとしたとき など
この酢のスプレーは、犬が酢の香りに慣れてしまうと効果を得られません。
したがって、多用せずにここぞというときに使用しましょう。
自分でしつけるのが難しい場合は教室やトレーナを利用するのもおすすめ!
飼い主自らがしつけを行うことは大切ですが、方法や進め方に不安がある場合はプロに頼むのも1つの手段です。子犬のしつけを専門に行うパピー教室や、家に来てトレーニングを行う出張トレーニングもあります。
ポメラニアンのしつけに困った際は、まずはカウンセリングから受けてみるのがおすすめです。
プロから直接しつけのコツを教えてもらえる
ポメラニアンをブリーダーのもとから迎え入れた場合も、しつけの方法やコツを教えてもらえるでしょう。特定の犬種ならではの悩みも、ブリーダーであれば豊富な経験を活かして適切なアドバイスをしてくれるはずです。
間違ったしつけをしてから訂正するのは、根気と労力がかかります。
正しいしつけの道をプロから学び、犬にしっかりと示してあげることがお互いにとってメリットとなるでしょう。
愛犬の社会化トレーニングになる
パピー教室には、さまざまな犬たちが訪れます。たくさんの犬たちと関わり合うことで、迎え入れたポメラニアンの社会化トレーニングにもつながるのです。
子犬時代にたくさんの経験を積んだ犬は、成犬になっても無駄吠えが少なく誰とでも仲良く遊ぶようになります。社会性の身に付いているわんちゃんなら、複数の犬が集まるドッグランなどにも、気軽に立ち寄ることができるでしょう。
飼い主同士の交流の場になる
パピー教室やトレーニングクラスには、同じような悩みや不安を抱えている飼い主が集まります。そのため、お互いの悩みや犬に関する情報を交換できる相手を見つけやすいでしょう。しつけに関して試してみたことや成功談などを聞けるため、愛犬のしつけに応用できる方法が見つかるかもしれません。
また、飼い主同士が仲良くなれば、いっしょにアウトドアを楽しんだり、ドッグカフェでくつろいだりすることもでき、より充実したドッグライフを送れるでしょう。
まとめ
ここまで、ポメラニアンのしつけについて解説してきました。
トイレトレーニングやクレートトレーニングなど、基本的なしつけはきちんと行うことが大切です。
どんなしつけも、一朝一夕では習得できません。根気強く続けていくことで、吠えやすく気が強いとされるポメラニアンも、飼い主の素晴らしいパートナーになってくれるでしょう。