寒さに強い犬種10選! 寒さに強い理由や特徴など詳しく解説!

寒い地域が原産の犬種や、特定の体の特徴を持つ犬は寒さに強い傾向があります。
寒さに強い犬種をペットとして迎えたいと考えている方へ、その特徴や理由、飼育する上での注意点、そして自宅でできる寒さ対策について詳しく解説します。
【目次】
- 犬は寒さに強いのか
- 寒さに強い犬種の特徴
- 寒さに強い犬種8選
- 寒さに弱い犬種の特徴
- 寒さに強い犬種を飼うときの注意点
- 自宅でできる寒さ対策
- まとめ
犬は寒さに強いのか
一般的に、犬は人間よりも寒さに強いとされています。
これは、犬の平均体温が人間より高いことや、全身を被毛で覆われていることが理由として挙げられます。
しかし、すべての犬種が寒さに強いわけではなく、犬種や年齢、被毛の種類によって寒さへの耐性は大きく異なります。
寒さに強い犬種の特徴
寒さに強い犬種にはいくつかの共通した特徴があります。これらの特徴は、彼らが厳しい寒さの環境で生き抜くために進化の過程で獲得したものです。ここでは2つご紹介します。
①ダブルコート
寒さに強い犬種の大きな特徴の一つが「ダブルコート」と呼ばれる二重構造の被毛です。
ダブルコートは、硬くて太いオーバーコート(上毛)と、密生した柔らかいアンダーコート(下毛)の2層で構成されています。
オーバーコートは雨や雪を弾く撥水性があり、皮膚を保護する役割を果たします。一方、アンダーコートは綿毛のようにふわふわしており、断熱材のように機能して体温をしっかりと保持する役割を担っています。
寒冷地が原産の多くの犬種や一部のペット犬種がこのダブルコートを持っており、特に冬場はアンダーコートの量が増えることで保温効果が高まります。
換毛期にはこのアンダーコートが大量に抜けるため、こまめなブラッシングが欠かせません。
②大型犬や中型犬が多い
寒さに強い犬種には、大型犬や中型犬が多く見られます。
ポメラニアンのような寒さに強い小型犬も存在すると言われていますが、一般的には体が大きい犬のほうが寒さに強いとされています。
これは、体が大きい犬のほうが「体の外側(熱が逃げる部分)」よりも「体の内側(熱を生み出す部分)」の割合が大きく、体温が外に逃げにくくなるためです。
例えるなら、小さな氷よりも大きな氷の方が溶けにくいことと同じ原理です。
また、寒冷地を原産とする犬種は、その厳しい環境で生き抜くために自然と大型化していったと考えられます。
体が大きい犬は体内で多くの熱を生み出す筋肉量を持ち、さらにその熱を効率よく保持できるため、寒さへの耐性が高いとされています。
寒さに強い犬種8選
では、一体どんな犬種がいるのでしょうか。ここでは、寒さに強いとされる10種類の犬種をご紹介します。
①サモエド
サモエドは、ロシアの極寒地帯であるシベリアを原産とする大型犬です。
常に笑っているように見える口元から「サモエドスマイル」と呼ばれ、多くの人々を魅了しています。
元々は遊牧民と共にソリを引いたり、トナカイの番をしたりと、寒冷地での過酷な作業をこなしてきた歴史があります。
厚く密生したダブルコートを持っており、これが極めて高い保温性を発揮し厳しい寒さから身を守っています。
そのため寒さには非常に強いですが、暑さには極めて弱い犬種です。
②シベリアンハスキー
シベリアンハスキーは、その名の通りロシアのシベリア地方が原産の大型犬です。
極寒の環境でソリ犬として活躍していた歴史を持ち、寒さに対して非常に高い耐性を持っています。
その最大の理由は厚く密生したダブルコートの被毛です。体温をしっかりと保持し、雪や風から体を守る優れた断熱効果を発揮します。
その力強く美しい外見も人気です。フレンドリーで社交的な性格の犬が多いとされています。
運動能力も非常に高く、寒い環境での長時間の運動にも耐えられます。
③アラスカンマラミュート
アラスカンマラミュートは、アメリカのアラスカ州が原産の犬種です。
北極圏でそり犬として活躍していたため寒さに非常に強く、体力・持久力ともに非常に優れています。ルーツは先住民族であるマラミュート族が飼育していた犬にあり、人間との協力関係の中で進化してきました。
性格は穏やかで愛情深く、社交的です。一方で独立心も強いため、初心者にはやや扱いにくい面もあります。そのため、しっかりとしたしつけと十分な運動が必要です。
また、暑さには弱いため、日本などの温暖な地域では夏場の温度管理が欠かせません。
④セントバーナード
セントバーナードは、スイス原産の寒さに強い大型犬です。
アルプスの山岳地帯で救助犬として活躍しており、厚い被毛と大きな体格が特徴で、体力と持久力に優れています。
性格は穏やかで辛抱強く、子どもや他の動物にも優しく接することができるため、家庭犬としても人気があります。
ただし、その大きな体から運動スペースが多く必要になる点、暑さに弱い点には注意が必要です。
よだれが多い傾向があるため、衛生面での配慮も必要です。
⑤グレートピレニーズ
グレートピレニーズは、フランスとスペインの国境であるピレネー山脈が原産の寒さに強い犬種です。
雪山で牧羊犬として活躍しており、厚い被毛と力強い体格が寒冷地での生活に適しています。
性格は家族に対しては非常に忠実で優しく、落ち着いていて忍耐強いため、小さな子どもや他の動物とも比較的うまくやっていける傾向があります。ただし、しっかりとしたしつけと運動量の確保は不可欠です。
⑥ニューファンドランド
ニューファンドランドは、カナダのニューファンドランド島が原産の寒さに強い大型犬です。
短くて厚い被毛は防水性があり、かつては漁師のパートナーとして、網の引き上げや落水者の救助などの水上作業を担っていたことから、優れた泳力と強靭な体力を持ち合わせています。
足には水かきがあり、水中での推進力を高める構造になっているのも特徴です。
性格は穏やかで優しく家族に献身的で、家庭犬としても高い人気があります。
⑦秋田犬
秋田犬は、日本の東北地方を原産とする大型犬です。
古くから雪深い秋田の地で猟犬として活躍しており、寒さに対して非常に強い耐性を持っています。
密生したダブルコートの被毛と、がっしりとした体格が寒さをしのぐ上で有利に働きます。特に冬場の被毛は非常に厚くなり、厳しい寒さからも身を守ります。
忠実で勇敢な性格を持ち、飼い主には深い愛情を示しますが、見知らぬ人や他の犬に対しては警戒心が強い傾向が見られます。
寒さに強い大型犬ではありますが、子犬や老犬、体調不良の場合は温度管理に注意が必要です。
⑧ラブラドールレトリバー
ラブラドールは、カナダのラブラドール半島ではなく、ニューファンドランド島が原産の大型犬です。
寒冷な海での漁を手伝っていた歴史があり、寒さや水に対して比較的強い耐性を持っています。ただし、極端な寒さの中で長時間過ごす場合は注意が必要です。
密生した短いダブルコートの被毛を持っており、これが体温を保持し、水を弾く役割を果たします。
賢く友好的な性格で、家庭犬として非常に人気が高い犬種です。
盲導犬や介助犬としても多く活躍しています。
⑨ゴールデンレトリーバー
ゴールデンレトリバーはイギリスが原産の大型犬です。
ご紹介してきたサモエドやシベリアンハスキーほど極端な寒さに特化しているわけではありませんが、水鳥猟で活躍していた歴史があり、寒さや水に対する耐性を持っています。
密生したダブルコートの被毛を持っており、特にアンダーコートが豊富で保温性が高いです。賢く温厚な性格で、家庭犬として世界中で愛されています。
⑩柴犬
柴犬は日本原産の日本犬で、古くから猟犬として山野を駆け巡っていました。
近年では室内で飼育されることも増えていますが、寒さへの耐性は備わっています。
特に冬場はアンダーコートが豊富になり、寒さから体を守ります。
勇敢で独立心が強い性格をしていますが、飼い主には忠実です。子犬の頃からしっかりと社会化としつけを行うことで、素晴らしいパートナーとなるでしょう。
寒さに弱い犬種の特徴
寒さに強い犬種がいる一方で、寒さに弱い犬種も存在します。ここでは2つの特徴をご紹介します。
①シングルコート
寒さに弱い犬種の特徴の一つに「シングルコート」と呼ばれる被毛の構造があります。
シングルコートは、オーバーコートのみで構成されており、寒さから体を守るためのアンダーコートがほとんどありません。
そのため外気温の影響を直接受けやすく、体温が奪われやすい構造となっています。
該当する犬種は、主に暖かい地域を原産とするか、室内での飼育を目的として品種改良されてきた歴史があります。
そのため日本の冬の寒さに対しては十分な備えがなく、寒さを感じやすい傾向が見られます。
寒い時期には服を着せるなどの防寒対策が必要になります。
②体が小さい小型犬
寒さに弱い犬種には、小型犬が多く含まれます。
チワワやトイプードルといった小型犬は、体が小さいわりに皮膚の表面が多くなるため、体の中で作られた熱が逃げやすい傾向があります。
さらに、小型犬は大型犬に比べて一般的に筋肉量が少なく、体内で作り出せる熱の量も限られます。
また、体が地面に近いため、冷たい地面からの冷気を感じやすいことも寒さに弱い要因の一つです。
これらの理由から、小型犬は寒冷な環境では体温を維持することが難しく、寒さを感じて震えるなどのサインを見せることがあります。
寒さに強い犬種を飼うときの注意点
ご紹介してきたように、寒さに強い犬種は寒冷な環境に適応する能力が高いですが、飼育する上で注意しなければならないこともあります。ここでは3つの注意点をご紹介します。
①暑さに弱い
寒さに強い犬種の多くは、その密生した被毛や体格ゆえに暑さには非常に弱いという特徴があります。
特にダブルコートを持つ犬種は、厚いアンダーコートが体の熱を閉じ込めてしまうため、体温調節が難しく、熱中症になりやすい傾向があります。
暑い時期には、エアコンの利用や涼しい場所の提供、散歩時間の工夫など、徹底した暑さ対策が不可欠となります。
屋外で飼育している場合は、日陰と十分な水分が確保できる場所を用意し、可能であれば気温の高い日中は室内に入れるなどの配慮が必要です。
②毛玉ができやすい
特にダブルコートで被毛が豊富な犬は、毛玉ができやすい傾向があります。
密生したアンダーコートは毛が絡みやすく、ブラッシングを怠るとすぐに毛玉になってしまいます。
毛玉は皮膚の通気性を悪くし、皮膚病の原因になったり、ノミやダニが繁殖しやすくなったりする可能性があります。
また、毛玉が大きいと犬が引っ張って痛がったり、皮膚を傷つけてしまうこともあります。換毛期には特に抜け毛が増えるため、毎日の丁寧なブラッシングが欠かせません。
定期的なトリミングや、必要に応じてプロのトリマーに手入れをお願いすることも、毛玉を防ぎ皮膚を健康に保つために重要です。
③寒さへの耐性を過信しない
寒さに強い犬種だからといって、寒さに対して完全に無敵であるわけではありません。
特に子犬や高齢の犬、病気や体調を崩している犬は、成犬に比べて体温調節機能が低下しているため、寒さの影響を受けやすくなります。
また、普段から暖かい室内で過ごしている犬は本来寒さに強い犬種であっても、寒さへの耐性が弱まっていることがあります。
急激な温度変化は犬の体に負担をかけるため、寒い日に突然長時間屋外に出したりすることは避けましょう。
愛犬の様子をよく観察し、震えている、体を丸めている、動きが鈍いなど、寒がっているサインが見られた場合は、すぐに暖かい場所に移動させるなどの対応が必要です。
自宅でできる寒さ対策
寒さに強い犬種であっても、冬場の室内環境を快適に整えることは愛犬の健康維持のために重要です。
自宅で愛犬のためにできる寒さ対策は以下の通りです。
- 暖かい寝床の用意:
毛布やクッション性の高いマット、ペット用ホットカーペットなどを活用し、犬が体を温められるようにします。ケージを使用している場合は、ケージカバーで隙間風を防ぐと効果的です。 - 室温管理:
犬が快適に過ごせる室温を保ちます。犬種や個体差によって適切な温度は異なりますが、一般的に人が快適と感じる温度より少し高めが推奨されます。 - 暖房器具の工夫:
暖房器具を使用する際は、温風が直接犬に当たらないように配置を工夫しましょう。加湿器を併用して、乾燥を防ぐことも大切です。 - 床からの冷え対策:
断熱性のあるマットやカーペットを敷き、床からの冷えを軽減します。 - 衣服の着用:
室内でも犬用の服を着せることで、体温の低下を防ぎます。
まとめ
寒さに強い犬は、その土地や役割に適応してきた歴史的背景を持ち、雪や低温にも負けない頼もしさがあります。
寒冷地での飼育はもちろん、都市部や室内でもその特性を理解し、快適な環境を整えてあげることが大切です。個体差や年齢にも配慮しながら、健康で快適に過ごせるよう心がけましょう。

愛玩動物飼養管理士、いぬ検定、少額短期保険募集人の資格を保有。
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