美濃柴犬ってどんな犬?性格や特徴、気になる値段まで詳しくご紹介!
公開日:2025年9月30日
更新日:2025年9月30日
美濃柴犬(みのしばいぬ)とは、岐阜県をルーツにもつ、とても珍しい日本犬の一種です。その歴史は古く、一時は絶滅の危機に瀕したことも。
この記事では、そんな魅力あふれる美濃柴犬の歴史や特徴、性格、そして家族に迎えるための方法や値段まで、詳しく紹介していきます。
[目次]
美濃柴犬の歴史とルーツ
美濃柴犬を語るうえで欠かせないのが、その歩んできた歴史です。ここからは、美濃柴犬の歴史を詳しく見ていきましょう。
岐阜県美濃地方で誕生した土着犬
原産地 | 日本(岐阜県・美濃地方) |
平均価格 | 約20万〜40万円 (希少性や血統により変動) |
体重 | 7〜11kg |
平均寿命 | 12〜15年 |
性格 | 忠実で一途、落ち着きがあり穏やか。警戒心が強い |
見た目の特徴 | 「緋赤」と呼ばれる鮮やかな赤毛、小柄で引き締まった体型、素朴で力強い顔立ち |
美濃柴犬は、その名のとおり、自然豊かな岐阜県の美濃地方で生まれた犬です。
古くから、この地域でウサギやキジなどの小動物を狩る猟犬として、人々と共に暮らしてきました。
その起源はとても古く、縄文時代の遺跡から出てきた犬の骨格とも似ているといわれています。
地域の暮らしに寄り添ってきた、素朴で力強い魅力をもつ犬種です。
絶滅の危機を乗り越えた希少な犬種
かつて美濃地方で活躍していた美濃柴犬ですが、第二次世界大戦の混乱の中で食糧難や病気が重なり、その頭数は激減。一時は、絶滅寸前の状況にまで追い込まれたといわれています。
この危機を救ったのが、昭和51年(1976年)に設立された「一般社団法人岐阜県美濃柴犬保存会」です。
残された数少ない美濃柴犬たちを探し出し、熱心な繁殖活動を続けた結果、少しずつ頭数を回復させることができたのです。
現在でも希少な犬種ですが、テレビで紹介されたり、見学会が開催されたりするなど、その魅力が少しずつ広まっています。
美濃柴犬は天然記念物?
「柴犬」と聞くと天然記念物をイメージするかもしれませんが、美濃柴犬は国の天然記念物には指定されていません。
天然記念物に指定されているのは、日本犬保存会がスタンダードとして定めた「柴犬」であり、美濃柴犬は地域固有の犬種「地柴」として、独自の歴史を歩んできました。
そして、この貴重な犬種を守り後世に伝えていくために「一般社団法人岐阜県美濃柴犬保存会」が存在します。
この保存会が中心となって、血統の管理や繁殖、展覧会の開催などを行い、美濃柴犬の保護と育成に尽力しているのです。
美濃柴犬の特徴や見分け方は?
美濃柴犬をほかの柴犬と見分けるには、いくつかの特徴的なポイントがあります。ここでは美濃柴犬の見た目の特徴を詳しく紹介します。
「緋赤」と呼ばれる鮮やかで独特な毛色
美濃柴犬の最大の特徴は、「緋赤(ひあか)」と呼ばれる美しい毛色です。
一般的な柴犬の赤毛よりもずっと濃く、鮮やかで深みのある赤色をしています。この独特な色は、ほかの犬種ではなかなか見ることができません。
子犬のころは黒っぽい毛(黒マスク)をしていることが多く、成長するにつれてだんだんと鮮やかな緋赤へと変化していきます。
この美しい毛色の変化を楽しめるのも、美濃柴犬と暮らす醍醐味の一つです。
素朴で野性味のある顔立ち
美濃柴犬の顔立ちは、どこか懐かしさを感じる素朴さと、キリっとした野性味をあわせもっているのが特徴です。
つり目がちでアーモンドのような形をした瞳は、知的で精悍な印象を与えます。
ピンと立った小さめの耳や、キュッと引き締まった口元も、猟犬としてのルーツを感じさせます。
一般的な柴犬より小柄で引き締まった体型
美濃柴犬の体型は、一般的な柴犬と比較すると、やや小柄でコンパクトなのが特徴です。
筋肉質で無駄のない、引き締まった体をしています。
具体的な大きさの目安としては、男の子が体高38cm~41cm、体重8kg~9kgほど。
女の子は体高36cm~39cm、体重7kg~8kgほどとされています。
山の中を俊敏に駆け回っていた猟犬だったこともあり、見た目はスリムですが、運動能力は非常に高いです。
そのコンパクトながらもバランスの取れた体つきは、日本の住環境にも適しているといえるかもしれません。
美濃柴犬の性格や気質は?
美濃柴犬の魅力は、その見た目だけではありません。ここでは、美濃柴犬の気になる性格について、詳しく解説していきます。
飼い主に対して忠実で一途
美濃柴犬の性格を語るうえで欠かせないのが、飼い主に対する深い忠誠心です。
一度「この人だ!」と決めた相手には、とことん一途に愛情を注ぎます。
猟犬として人と一緒に仕事をしていた歴史から、リーダーと認めた人の言うことをよく聞き、素晴らしいパートナーになれる素質をもっています。
その分、誰にでもすぐに心を開くタイプではなく、家族以外の人とは少し距離を置く場合があります。
特定の相手とじっくりと時間をかけて、深い信頼関係を築いていくことに喜びを感じる性格といえるでしょう。
普段は落ち着きがあり穏やか
活発な猟犬のイメージがあるかもしれませんが、美濃柴犬は家の中ではとても落ち着いていて、穏やかに過ごすことが多い性格です。
感情の起伏がそれほど激しくなく、無駄に吠えたり騒いだりすることも少ない傾向にあります。
もちろん、遊ぶときは元気いっぱいですが、オンとオフの切り替えが上手なので、室内でのんびり過ごす時間も大切にします。
静かで落ち着いた家庭犬を求めている人にも、ぴったりの性格かもしれません。
知らない人には警戒心をみせる一面も
飼い主や家族には愛情深い美濃柴犬ですが、知らない人や慣れない環境に対しては警戒心をみせることがあります。
これは、自分の縄張りや家族を守ろうとする本能からくる性格です。
番犬としての能力が高いともいえますが、過度な警戒心はストレスにつながるため、子犬のころからの社会化がとても大切になります。
いろいろな人や音、場所に慣れさせてあげることで、落ち着いて対応できる力を育てていきましょう。
この警戒心も、忠誠心の裏返しと理解して接することが重要です。
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美濃柴犬は飼いやすい?知っておきたい飼育ポイント
ここでは、美濃柴犬を家族として迎える前に知っておきたい、散歩の目安からしつけ、寿命といった飼育に関する大切な情報をお伝えします。
毎日の運動量と散歩の目安は?
美濃柴犬は猟犬のルーツをもつため、小柄ながらも体力があり、毎日の運動が不可欠です。
散歩は、1日に2回、それぞれ30分~1時間程度を目安に行いましょう。
ただゆっくり歩くだけでなく、時には早歩きをしたり、軽いジョギングを取り入れたりすると、より満足感を得られるでしょう。
また、思い切り走れるドッグランなどを定期的に利用するのもおすすめです。
十分な運動は、ストレスの軽減や問題行動の予防にもつながり、心身の健康を保つためにとても重要です。
必要なお手入れは?
美濃柴犬は短毛ですが、被毛は寒さから身を守るアンダーコートと、体を保護するオーバーコートの二重構造(ダブルコート)になっています。
そのため、春と秋の換毛期は、たくさんの毛が抜けます。この時期は、できれば毎日ブラッシングをして、抜け毛を取り除いてあげましょう。
普段は週に2~3回程度のブラッシングで大丈夫です。
シャンプーは、皮膚の油分を落としすぎないよう、月に1回程度が目安です。
そのほか、定期的な爪切りや耳掃除、歯磨きといった基本的なケアも、健康を維持するために欠かせません。
賢さを生かしたしつけのコツ
美濃柴犬はとても賢く、物覚えが良い犬種なので、しつけは比較的入りやすいといえます。
ただし、自立心が強く頑固な一面ももちあわせているため、飼い主が一貫した態度で接することが大切です。
褒めて伸ばすことを基本に、できたときにはたくさん褒めてあげて、楽しくトレーニングを進めましょう。
平均的な寿命と長生きの秘訣
美濃柴犬の平均寿命は、12~15歳くらいとされています。これは、日本犬としてはごく一般的な長さです。
遺伝的な病気は比較的少ない犬種といわれていますが、アレルギー性の皮膚炎などには注意が必要です。
年齢や体調に合わせたバランスの良い食事、適度な運動を毎日欠かさず行いましょう。
また、定期的に動物病院で健康診断を受けることで、病気の早期発見にもつながります。
美濃柴犬を家族に迎えるには
美濃柴犬は、どうすれば家族に迎えられるのでしょうか。
ここでは、気になる子犬の価格相場や、信頼できるブリーダーのみつけ方など、購入を考える際に知っておきたい具体的な情報をご紹介します。
子犬の価格相場はどれくらい?
価格は変動しますが、おおよその相場は20~40万円程度となっています。
ただし、これはあくまで目安の価格です。
親犬が展覧会で優秀な成績を収めているなど、その血統や月齢、性別によって値段は変わってきます。
希少な犬種であるため、一般的な柴犬と比べると高価になる傾向があります。
価格だけでなく、犬舎の衛生環境や、親犬や兄弟犬の様子をしっかり確認して、総合的に判断することが大切です。
ブリーダーからの購入が主流
美濃柴犬は頭数が少なく希少なため、ペットショップでの販売はほとんど行われていません。
そのため、家族に迎えたい場合は、美濃柴犬を専門に繁殖しているブリーダーから直接譲ってもらうのが主な方法となります。
信頼できるブリーダーを探すには、「岐阜県美濃柴犬保存会」に問い合わせて紹介してもらったり、インターネットで情報を探したりするのが良いでしょう。
良いブリーダーは、犬種の特性や飼育の注意点について丁寧に説明してくれます。
お迎えを決める前には、かならず犬舎を見学し、衛生的な環境で子犬が愛情をもって育てられているかを確認しましょう。
【番外編】各地の地柴もご紹介!
美濃柴犬のように、日本各地には、その土地ならではの歴史や特徴をもつ「地柴(じしば)」と呼ばれる犬たちがいます。
ここでは番外編として、美濃柴犬以外の代表的な地柴をいくつかピックアップしてご紹介します。
信州柴犬(長野県)
信州柴犬(しんしゅうしばいぬ)は、長野県の山岳地帯をルーツにもつ地柴です。
美濃柴犬と同じく、古くから鳥や小動物の猟犬として活躍してきました。
見た目の特徴は、野性味の強い顔立ちと、がっしりとした体つき。
毛色は赤毛が主ですが、美濃柴犬の「緋赤」とは少し違い、より素朴で深みのある赤色をしています。
美濃柴犬との大きな違いは、より山岳地帯に適した、たくましい体格をしている点といえるでしょう。
気質は飼い主に忠実で我慢強いですが、頑固な一面も、もち合わせています。
石州犬(島根県)
石州犬(せきしゅういぬ)は、島根県の石見地方が原産の地柴で、主にアナグマなどの猟で活躍していました。
体つきは小柄で引き締まっており、ピンと立った耳と、巻いた尾または立った尾が特徴です。
性格は穏やかで人懐っこいとされ、家庭犬としても馴染みやすいといわれています。
美濃柴犬との違いは、毛色が赤だけでなく、胡麻や黒などバラエティに富んでいる点や、比較的フレンドリーな気質をもつ傾向がある点です。
石州犬は1965年頃に絶滅したとされていますが、今もなお地域の歴史や文化の一部として語り継がれています。
山陰柴犬(鳥取県)
山陰柴犬(さんいんしばいぬ)は、鳥取県や島根県などの山陰地方で飼育されてきた地柴です。
ほかの柴犬と比べると手足が長く、やや細身でスタイリッシュな体型をしているのが大きな特徴です。
顔立ちは面長で、キツネ顔に似た精悍な印象を与えます。
性格は非常に温厚で飼い主に従順であり、人とのコミュニケーションを好む傾向があります。
美濃柴犬との明確な違いは、そのすらりとした体型と、知らない人に対しても比較的友好的に接することができる穏やかな気質にあるといえるでしょう。
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まとめ|美濃柴犬は希少で魅力あふれる日本犬!
ご紹介してきたように、美濃柴犬は、鮮やかな毛色や引き締まった体型、そして飼い主に一途な性格が魅力の希少な日本犬です。現在は頭数が少なく出会える機会も限られていますが、そのぶん特別感のある存在といえるでしょう。
日本犬ならではの素朴さと力強さを併せもつ美濃柴犬は、これからも大切に守り継がれていくべき貴重な犬種です。
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